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「…どうした、昴流」
既に教室に戻っていた愁。何で起こしてくれなかったんだよ、とか文句言うつもりだったのに"前の家"の事を思い出してしまってどこか不安すらも覚え心の余裕がなく、愁を見たらそれが強まって後ろから愁を抱き締めた。
様子がおかしいのが分かったのか、何時ものチャラけた口調で、人を嘲笑するような声じゃなくて真面目で優しい口調と声で、愁が俺の頭を優しく撫でた。
嗚呼、やっぱり愁は"優しい"。
その優しさに依存している自分は、その優しさを"利用"している俺は愁以上の"屑"だ。
「…愁、愁…」
「…だから、どうした」
「お、れ…寒い…、欲しい…」
「…嗚呼、ほら」
その意味を分かっている愁は、何も言わずに俺を抱き締めてくれた。
いつもなら、これで不安がなくなるのに、無くならない。
兄貴と住み始めて最近はこうならなかったからか?
早く、早くこの寒さから抜け出したくて愁を抱き締める力を強くする。
「…もっと、欲しい、もっ、と」
「…どうしたんだお前、何時もより酷いな。…ッチ、場所が場所だ。移動するぞ」
人がいない場所に移動するって意味だって頭では分かってる筈なのに、不安で上手く頭が働かない。
分かってる筈なのに、なぜか愁が俺の前から居なくなるって、思ってしまう自分がいる。
「…っ、離れないで、愁。1人は…頼むから…っ」
「…嗚呼、糞…。どうしたんよお前…最近なってなかったろ。流星さんと住み始めて落ち着いたと思ってたのによ…」
「愁、足りな…。もっと、欲しい…痛いの。…熱い、の」
寒くて、寒くて。それを早くどうにかしたい。
1度開け、塞がってしまってる穴が、ジクリとその寒さに共振するように疼きだした気がした。
「それじゃあ前と変わらねぇぞ。流星さんとピアスはもう開けねぇって約束したんだろ?」
「…ぁ、う…」
「…飛んでんな。…ッチ、糞…。見せもんじゃねぇんだよ、ぁあ?!」
もう自分が何を口走ってんのか分からないし、愁が何言ってるのかも分かんねぇ。
ただ、愁が何か怒鳴ってるのは分かった。
「っ、い゛、ぅ…」
急に首の辺りがじわりと熱くなってそっちを見たら愁がいた。
覚えのある感覚で多分、噛みつかれた。
少しだけ不安が無くなったような気がする。
「少し目を覚ませ」
「…ぅ、愁…?」
「場所を変える。掴まってろ」
言われた通りに愁に掴まれば同じくらいの身長のはずなのに、軽々と俺を持ち上げた。
「ごめん…俺、お前に…」
半分我に返って、自分がしたことの後悔した。
2人きりじゃないのに、人目がある場所でなんてお前も良い迷惑だろうに、俺はお前を求めた。
お前の都合も考えずに取り乱して。
「…ご、め…っ゛」
「何謝ってんだ。塵同士で"慰め合う"。それが"俺達"だろ。…謝ることじゃねぇ」
そう、謝る俺にデコピンして優しく微笑んでくれるお前はやっぱり誰よりも優しいと思った。
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