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「愁、もっと…」
「はいはい」
弱々しい声で俺にもっと強く抱き締めて欲しいと懇願するそいつ。
俺は言われた通りに抱き締めて、優しく頭を撫でてやる。
昴流が安心できるように。早く落ち着いてくれと願いを込めながら。
こいつとは最初は"玩具"と"殴る"関係だったのに、今では互いの"闇"を共有し、慰め合う歪な関係。
似たような"傷"を持っているからこそ、俺は優しく接する。そうじゃなきゃあやっていない。俺が優しく、とか吐き気がする。
昔からこいつは不安定なやつだった。
俺と知り合った時からそう。
それは次第に悪化していって、それを埋めるように毎日毎日狂ったように喧嘩するようになった。
それで今じゃあこれだ。
昴流の兄、流星さんと住むようになってから不安定なことは減り、落ち着いてきたのだろうと思っていたところでまた戻った。
と言うか、悪化した気がする。
“家族”を知った反動だろうか。一度寒さを凌いでくれる温もりを知れば、常に感じていた寒さは余計に寒く感じでしまう。
不安定なこいつは何をしでかすか分からない。
中学の頃はピアスを開けるっつー自傷行為で満たしたり、1対多数の喧嘩に突っ込んだり。
何が言いたいかって、危なっかしい。こうなったこいつは。
だから死なれても困るし流星さんって存在は俺としてもありがたかったんだけど…。
「何があった」
そう、まずそこ。
何で不安定になったのか。急すぎる。
俺はそうなるようなことを言ったりはしないし、この学校でお前に声をかける奴なんていない筈。
きっかけが全く見当もつかない。
「…俺、のピアスの量が、異常って椿言ってた」
「ツバキ…あの糞か」
…確かにお前の量は異常だよ。
安定してんのは結構あるけど、閉じたやつも結構あるからな。
…なんて言わないけど。
あの糞に言われた…嗚呼、理解した。
親に何も言われないのかとか言われたんだろうな。
この量見たらまだ高校生だし教師じゃなくても誰だって思うことだろうから。
昴流にとって"親"は"前の家"の記憶に繋がるから禁句。
で、言われたから思い出してしまって不安定な状態になった…ってところか。
昴流が寝た場所が屋上だから大丈夫だろうと安心してしまっていた。
そりゃあそうだよな、あいつ教師だから鍵持ってるよな。
そんで、俺等に怯えない。つまり、話しかけようと思えば話しかけれる。
…あー、俺がちゃんと予想してピアス外すように言っとけれてたらなあ…まだマシだったんだろうな。
これ完全に俺の落ち度だな。
「…俺、変?…ピアス、多い?異常…?」
「…お前は"普通"だ。安心しろ」
本当は多すぎる位だけど、こうでも言ってやらないと落ち着くものも中々落ち着かない。
「また他のやつに言われるかもしれねぇし…少し減らせば?」
「…別に良いけど」
「俺が外してやろうか?」
「…ん」
昴流の髪を掻き分けて、出てきた片耳平均10個はついてあるピアスを標準的な数と、つけている位置になるように減らしていく。
これでもう多すぎる、とか言われなくはなると思う。
ピアスを外すときに小さく喘ぐこいつ。
耳が弱いのってピアスのせいなんじゃ、とか思ってみたり。
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