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多分、…じゃなくとも今年…いや人生で一番の驚きだと思う。
「は??」
「一目惚れだ」
いや、言い直さなくても良いから。
は?惚れた?一目惚れ?
こいつが俺を?
驚きのあまり考えるのを放棄しそうになったのはこれが初めてのことじゃないだろうか。
「からかってんのか」
「本気だ。何で冗談で一回り以上も違う、しかも男で生徒にんなこと言わないとといけねぇ」
本気の目。
それに椿のいってることも一理ある。
同性同士、俺は別に男が性的対象では無い。
向こうもその可能性は頭に入れてることだろう。余程の馬鹿でなければ。
しかも、生徒。年も離れ過ぎている。
そんな最悪な条件が揃いまくってるのに冗談でも告るやつは早々いないだろう。
いるとしたらそいつは鋼メンタルだ。否、ここはもう揃えて救いようの馬鹿…と言おう。
こいつのが嘘じゃあねぇ、ってのは分かった。
同性愛に対しては偏見はしない。
けれど、その対象が自分に向けられていることに中々実感が湧かなくて、予想外な展開に混乱していると、椿が手で俺の顎を持ち上げられる。
強制的に顔を上に向けさせられて、椿と目があった。
瞳は日本人らしい黒みがかった茶色で、少したれ目。
熱の籠ったその目は色気すらも感じられて、男の俺でも目眩がしそうだった。
顎クイと呼ばれるこれを女はドキドキするとか、相手を意識してしまう、とかよく言っているのを、んな馬鹿な話があるかと聞いていたが、今なら分かる気がしなくもない。
顔が整った奴を間近で見たら、そりゃあ緊張してしまうだろう。
「好き、守ってやりたくて仕方がないくらいに好き。お前に会うたびにその思いが強くなるくらいに好き」
「…っ」
低く、甘い声で、俺を惑わすように耳に時々唇をあてながら、椿が囁く。
「生意気な所も、弱々しい所も、どんなお前も好き」
「も、良い…っ止めろ!」
「好き、好き…好き。大好き」
どれだけ抵抗してもその、愛の言葉を囁くのをやめない椿。
その甘い声に耳から直接脳に痺れが伝わるような感覚が走り、ショートしそうになる。
男、女関係無しにこんな風に言われたことなんてねぇから、どうしたら良いか分からない。
「…俺がどれだけお前を守ってやりたいって思ってるか…伝わった?伝わってないならもっと言ってあげるケド…」
「ぁ、や…わかった、から…」
また好き、と連呼しようとする椿を必死に止めた。
これ以上は俺が持たない。
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