アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
時はあっという間に過ぎて1週間後の参観日当日を迎えた。
教室入ってきたり、廊下で見ている親が俺と愁のことを見てはコソコソと話し、見ては話しで正直、切れかけてた。
…否、既に切れてた。
その原因を作ってるのは俺達だ。
だけど、いるなって空気を作られる筋合いはないと思う。だってまだ俺等たまにサボったりする程度で何も問題起こしてねえし。
いたら悪ぃのかよ。何処にいようが俺達の勝手だろ。
「ルウちゃん俺うざいし臭いしだから屋上いこうと思う。無理。そろそろ吐きそう」
母親の姿ばかりで化粧品の臭いが濃い。
愁はその臭いが大嫌いで、その上俺達を非難しているであろうヒソヒソ話。
我慢の限界に達した愁はガタン、と音を立てて立ち上がり、その瞬間教室は静まり返った。
一気に愁へと集まる視線に愁が盛大に舌打ちをした。
「ッチ…嗚呼苛々する…」
「おい、待て行くんなら俺もいーー」
「サボったら俺来た意味無んだけど」
教室から出ていこうとする愁を追いかけ俺も立ち上がろうとした時、廊下の方から聞き慣れた声がした。
そこにはマスクをつけた少しだけスーツを着崩している自分の兄。黒いマスクなのが胡散臭い。
「流星さん…っ?!」
「よ、愁。とりあえずマスクつけな。気休めにはなんだろ」
「…あ…あざす…」
兄貴は愁に同じく黒色のマスクを押し付けると「食べたら少しは楽になると思う」と、ミントタブレットを5錠くらい一気に愁の口の中に放り込んだ。
「…つか流星さん来るとは思ってなかったです。…仕事の方で忙しいんじゃ…」
「平気平気。そこはちゃんと上司に話してきたから。可愛い弟2人の入学式に行けれなかったしな。こういう時だけでも、な」
「うわ…っ」
「っ…おい」
目を細めて、兄貴はガシガシと俺達の頭を撫でる。
きっとマスクで隠れた唇は三日月を描いていることだろう。
「次の授業何?」
「化学」
「…できんの?お前ら」
「俺たち理系なんで余裕ですね」
「…まあ、今のところは」
「天才かよ」
兄貴はそこまで頭が良くない…兄貴が以前俺に笑って言ってた話だけど高校ではテストはほぼ全部赤点だったらしい。卒業もギリギリだったんだとか。
それ、笑い話でも何でもないんだけど。
「あ、でも元素記号は全部言える」
「多分そっちのほうが覚えるの難しいと思います」
「えー、何か周期表見てたら覚えれたぞ」
ふふん、と自慢気にあまり使えない特技を語りだした兄貴。
丁度教科書もあるし、それの周期表に目を通して、忘れるとしたら後ろの方だろうと後ろを攻めてみた。
「78」
「白金」
「83」
「ビスマス」
「105」
「ドブニウム」
「108」
「えーっと…ハッシウム」
ほぼ即答でしかも全部正解。
元素名がポイポイと出てくるのも凄いが、合ってるのも凄い。
兄貴はテストの点数だけ見ると確かに馬鹿なんだろうけど、詳しい所はとことん詳しい。
雑学が豊富、といえば良いのだろうか。
ある意味兄貴も天才だと思う。それを無駄な所に使わなければ赤点免れてた気がしてならない。
「やりてぇところだけやってたらそうなった」
「なんで元素記号覚えようと思ったのか謎で仕方がない」
それに兄貴は少しだけ考える素振りを見せて「隠し芸?」と疑問系で答えた。
まさかの隠し芸。否、確かに全部言える人俺の記憶上兄貴だけだけど。
隠し芸にしてはパッとしない…と思ったのはその特技を自慢している兄貴に悪いから言わないでおいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 1113