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『保護者会』。
…という名の戦場に今俺はいた。
保護者会とか行ったこと無かったけど、職場の既婚してる先輩に聞いてきたから何となくは想像できてたから特に緊張はしなかった。
…聞いたのは小学校の保護者会だけどまあそこは良いとして。
保護者の立場として来て集まった俺たちに自己紹介してくれた愁と昴流の担任は、先化学教えてたイケメンらしくて名前は椿先生って言うらしい。
花の椿に清涼の涼。名前までもがイケメン。
その椿先生が色々と話した後、椿先生に分厚く化粧をしたお母様方が色々と文句に近いものを言い始める。
話題は勿論俺の可愛い弟達。
「家の子が怖くて勉強できないらしいんです」だの「クラスを変えてください」だの、尽きることの無いその話題。
ま、あいつらの良い噂は聞かないし、そういう話題になるのは覚悟していた。
心の中で「お宅のお子さん普通に授業受けれてましたけどねー」と突っ込みながらそれを黙って聞いて、別に俺は椿先生に言うことがないのでパラパラと手帳をめくって予定を見て終わるのを待っていた。
…とはいえ、ずっと黙っているつもりはない。もう少し続き、その言い様が酷くなるようであれば反論するつもりでいる。
俺が保護者会に参加した理由。
保護者の立場として出れるものには出た方が良いって思ってたのもあるけど、あいつらが話題になると思ったからってのが1番の理由だ。
あまりいない人のことを話題にして悪く言われるのは嫌って言うか。保護者だからと言って何を言っても許される訳ではない。
それにあいつらは可愛い可愛い俺の弟。
俺だけはこう言うところで味方でいてやらないと駄目だろ?
「この学校は勉強する環境が整っていると思ったのに!彼等のせいで乱れてるじゃないですか」
「問題を起こされた後じゃ遅いんですよ」
「今すぐどうにかしてください」
お母様方怖い。何でこうも文句という文句が次から次へと出てくるんだろうか。
女の闇は怖いってよく聞くけど、これは納得。
授業参観で教室いったときもすげぇヒソヒソ話してたし。
それ職場でしたら嫌われる行動上位だからな。
…おっと、話が逸れた。
「私の意見を言わせて貰っても良いですか?」
これ以上は聞いてられないので俺が口を挟もうとするとずっと黙って聞いていた椿先生がお母様方にニコリと微笑だ。
「私は彼等のことが邪魔だとは思っていません。……寧ろ大事な生徒の1人だと思っています。ですので問題を起こすと決定し、彼らをどうこうするつもりはありません」
正直その言葉に驚いてしまった。
2人を庇うようなことを言ってくれるとは思っていなかった。
良い教師を演じてるのかもしれないけどここでそんなんやるメリットはないし、何となくだけどこの人は本心でそう言ってくれている気がした。
だから驚くと同時にこの人が担任で良かったって思えた。
「何度か彼らと会話をしたことは有りますが、ただ見た目が問題なだけで他は普通の生徒と何も変わりませんでしたよ」
「ですが……」
「それとも、貴女方は”噂”ではない本当の彼らを知っているのでしょうか」
「噂じゃなく事実でしょう?!!」
「彼らがしたことは嘘ではないでしょうね。ですが、その噂通りの気性の荒い人が入学してからの2週間、何も問題を起こさずに過ごせるでしょうか。…その件はどう思われますか?」
「それは…!」
「まあ、ここでその問題行動を証拠と共に提示されたら私も考えますが?それが無い以上ここで彼等をそういう風にどうこう言うのは間違ってるのでは無いでしょうか。…さて、彼等のことですが、どうするのか。それは今の段階では考えておりません。」
まるでマシンガン。止まることのない口があっと言う間にそれに負けず劣らずなマシンガンっぷりを発揮していたお母様方を黙らせた。
この人、口喧嘩で負けたことないんだろうなあ…。
「…この件はこれで終わりにさせていただきます。他に何か無いようでしたら歓談ということでお願いします」
静かになった会議室に椿先生が立ち上がう音が良く響いた。
保護者に向かって微笑み、「それでは私は失礼します」と付け加え、椿先生は頭を下げて会議室から出て行ってしまった。それを止める人は誰も居なかった。
俺はここにいる人達と話すことなんて無いし、寧ろ椿先生と話したいくらいだったから俺も会議室から出て彼を追いかけた。
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