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「椿先生」
声をかけると椿先生の足が止まり、こちらに振り返る。
椿先生の呼び止めに成功。椿先生凄ぇ歩くの早いの。競歩かっつーの。
胴と足の比率が日本人らしくないモデル並みで、俺もそこそこに足の長さはあると思うが、椿先生はもう、何て言うの?別世界?世の中って不平等だ。
「?はい。…あ、えっと…」
椿先生が申し訳なさそうな顔をする。時間ヤバかったか?と思い、謝ろうとしたのだが、どうやらそうでは無いらしく、言いにくそうに名前を聞いてきた。
…あ、やべ名札ポケットに突っ込んでた。
「狼城流星。昴流の兄です」
「ああ…狼城君の。言われてみれば少し面影がありますね」
「はは…っ、ありがとうございます」
弟に似ていると言われたのは世辞でも素直に嬉しかった。あまり似ているって言われたことがないから。…言われる機会がなかったって言った方が正しいか。
「ありがとうございました。…あいつらの味方をしてくれて。俺が口を挟むつもりでいたんで…」
椿先生を呼び止めた本題を切り出し、頭を下げる。
そうすれば大袈裟だと椿先生に言われたが、保護者の立場として、あいつらの理解者として。椿先生みたいな人がいてくれることは有難かった。
「ご家族のことで不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」
「そこは気にしてませんよ」
弟達のことを悪く言われるのは胸が痛かったが、言われるのは分かってたことだし椿先生が謝ることではない。
「あいつら学校でどんな感じですか?」
「あいつら…、失礼ですが魔咲君とは…?」
「血は繋がっていませんけど大切な家族、ですかね」
愁と知り合って、愁の事を知って、いつの間にか俺にとって愁は大切な家族の一員のような存在になっていた。
愁もそう思ってくれていると嬉しいのだけれど、実際どうなんだろうか。そうであったら嬉しい。
まあ、そんなこと言っても、イエスとしか言わせるつもりは無いが。もし「思ってない」なんて言われたら俺ショックで立ち直れねぇよ。
「成る程…。…頑張っていると思いますよ。サボったり寝ていることはたまにありますが、出席はちゃんとしてくれていますしね」
「そうですか……」
俺が思ってたよりも真面目に受けているみたいだ。
それを聞いて安心。
いやあ、だって俺高校生の時テストの点数と出席日数のダブルパンチだったから。あれは辛かった。
あいつらにはあの辛さを味わってほしくない。
休みという休みに単位を稼ぐために登校を強いられ…自業自得?うるせぇよ。
「ですが、見た目ですね……」
「見た目……?嗚呼、髪とピアスですか?…駄目なんですか?」
「ええ、一応校則違反です」
駄目だなんて思ってなくて校則違反だと知って驚いた。
俺の通ってた高校はそう言う校則なんて無かったから、無いのが普通だと思ってた。
最近の高校って厳しいんだな。
あ、違う。俺の高校が馬鹿だっただけか?
校則違反って停学になるのか?
校則違反で処罰食らったことなんて無いからなあ…。
…良く分からねぇけど注意した方が良さげ…??
「分かりました、私からも言っておきます」
「宜しくお願いします」
口ではこう言ったが、止めさせれる自信はないとここで言っておく。
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