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参観日。いつもとは違い賑わいを見せる学校。
女教員は若いやつ年寄…年配なやつまで厚く化粧をして張り切って。
濃すぎてもあれだと思うけど、それでも厚くしてしまう女。理解出来ない。きっとこの面で男と女が分かり合えることは無いのだと思う。
それと同時に女じゃなくて良かったと心の底から思った。化粧とかだるそうだし。化粧で睡眠時間削られるとか我慢出来ない。
途中にすれ違う生徒の親に会釈をしながら、教室に向かう。
すれ違うとする香水と化粧独特の臭いが混ざったなんとも言えない臭い。
オブラートに包んで言ってもキツい。何度もその臭いに噎せそうになった。
そんなににおい付けても良いもんじゃねぇっつーの。
…何て心中では毒を吐きながら授業をするクラス…俺が担任をしている教室に足を運ぶと、居た廊下に。
ホストみたいなやつが。
髪は焦げ茶で毛先は金色でスーツを少し着崩してる…そんな奴。
見た目は若そう。…誰かの兄?
見た目で決めつけるのは悪いと思ったが…うん、マジでホストみたいなんだって。
ホストに会ったことねぇけど、取り敢えずホストみたいだったんだよ。
グレーのワイシャツ着てる奴初めて見たぞ。や、そこまで濃い色では無いから悪目立ちしてる訳ではないのだが…何かと目立つ人だった。
授業が始まって、俺が教科書の説明をしているとそのホストみたいな人が生徒以上に頭を抱えて悩んでいて。
あんたが勉強しなくても良いでしょ、って突っ込みたくなった。
授業が終われば生徒以上に頭を使ったと言う空気がその人の周りに漂っていて笑いそうになった。マジで誰だよあの人の家族。
保護者会には、来ないと思ってたそのホストさんも参加していた。
生徒の親からは予想はしていたけどやっぱり魔咲と昴流のことを言われて。
その言われ様は酷いの何のって。
その間ホストさんは早く終わんねぇかなあって感じのオーラを出してパラパラと手帳を捲っていた。
お母様方に便乗することは無く、説明があって終わりだと思ってたんだろうなあと思いながらホストさんー勝手に名前を付けたーを眺めてた。
「今すぐどうにかしてください」
尽きることのないお母様方からの無茶な要求。
子供が集中して勉強出来ないとか言ってたけど普通に出来てるから。あいつ等普通に授業中大人しいから。
「どうにかしてください」。
遠回しに退学させてください。
"最恐"ってレッテルを貼られたやつと同じ学校に子供を通わせるのが嫌なんだろうな。
子供の身が心配だから。
今問題を起こしてなくてもいつ自分の子供に火の粉が飛んでくるかわからないから。
理解してやれることにはしてやれるが、理由なしに退学させるなんてそんなん無理な話だし、ここらでは悪い意味で有名なのだから仕方の無いこととは言え、惚れてるやつの事を悪く言われて怒らない程俺は出来た人間では無くて。
最初は耐えていたが結局我慢出来なくなり、俺が言い返したときの驚きっぷりはそりゃあもう滑稽だった。
俺があいつ等を庇うようなことを言うとは思ってなかったんだろうな。
無理矢理話を切り上げて俺が部屋から出て行くと階段辺りで声をかけられた。
声をかけたのは例のホストさん。
ホストさんと言う訳にもいかず、かと言って彼の名前が分からないのでどう呼べば良いのか分からない。
指定されてる筈の名札も付けていないから然り気無く名前を確認することも出来ない。
仕方なしに名前を聞くと付けてない名札の存在に気が付いたのか申し訳なさそうにしながら名前を教えてくれた。
そこでやっと昴流の兄だと知る。
うわ、マジかよ。昴流が一緒に住んでる兄ってこの人?
昴流のあの俺を兄と勘違いした時の甘えっぷりから見た目からしても優しい感じの人なんだろうと勝手に決めつけてた。
…嗚呼、でも言われてみればあいつの面影が無くもない。
歳がかなり離れているのか、それは薄っすらとしたものではあったが、笑う顔は確かに似ていた。
話してみればホストぽい見た目だけど中身は弟思いの優しい人で、真面目そうだった。
魔咲の事も弟のように可愛がっているようで、2人の学校ではどんな感じか俺が話すのを楽しそうに聞いていた。
それはもう我が子のように。
…あいつがブラコンなのが分かったかもしれない。
「あいつ等、最恐なんて言われてますけど、本当は凄く弱いんですよ。それを周りに見せようとしないだけで…だからあいつ等のこと宜しくお願いしますね」
話しの終わりにそう言って深々とお辞儀する姿は本当の2人の父親のようにも見えた。
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