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見たところ囲まれてるのは1人。
近くにトイレがあるから友人と遊びに来ていてトイレから出たら…って感じだろうか?
チンピラ数名に囲まれて顔が青ざめているそいつ。
…かと言って助けようとは思わない。
面倒だし、金を渡せば済む話だし。
それに、絡まれたのは自業自得だろう。ここら辺が夜に治安悪くなるのは地元の人間の間じゃあ有名な話だ。
だから俺達は素通りして、ゲーセンから出ようとした…のだけれど少年を囲んでいたチンピラ1名が少年と同じ制服の俺達に気がついて近づいて来て、馴れ馴れしく俺の肩に手を置いてきた。
馴れ馴れしい奴。同じ制服だから俺等も小遣い稼ぎに思われたんだろうか。
俺達が"悪魔"、"狂狼"と呼ばれているとは知らないのか気付いていないだけなのか。分かっていたらこう言う風に絡んできたりはしないだろう。
…ま、俺髪型前と全然違うし、ピアスも愁に言われてそこまでしてないから、後者だとしたら気付かないのは無理ないのかもしれない。
中学の頃と比べれば、俺の場合自分でもかなり変わったと言える自信がある。
昔は、腰までとは行かなくても髪は長かった。ピアスも耳だけじゃなくて顔にも付けてた。
恐らく、俺の方はそっちの容姿で定着されている。
愁はこれと言って変わってないが俺が隣にいるから気付かれてない、って感じか?
「君たちさああの子と同じ学校でしょー?助けてあげなよー?」
「助けてあげなよ」。
つまりはあいつのかわりに金をくれ。
お前等にやる金なんて1円もねぇわ馬鹿か。
つーか、何で同じ学校ってだけで助けねぇといけないの。俺等はあいつのこと知らないから助けてやる筋合いは無いと思う。
「…愁帰るぞ」
「だよねぇ、何で俺達が財布開くと思ったのか謎。そんなに安くないっての~」
殴ってやっても良かったが、場所が場所だ。
人の出入りが激しいこんな所で問題を起こしたらそれらしいこと言われて退学になるかもしれないと思って殴るのは耐えた。肩に置かれていた手を振り落として、チンピラに触れられていた部分を菌を落とすようにポンポンと払い、再び足を進めようとした。
…のだが、
「優しくしてやってたら調子に乗りやがって…」
「っ、うぁ…?」
腕を掴まれた。
俺の態度が気にくわなかったのか相手はマジ怒。
…否怒りたいのはこっちなんですけど。
「ルウちゃん殺る?こいつ」
「…ここで殺ったらサツ行き決定だぞ」
「それは困るなあ…」
「おい、聞いてんのか、ああ?!」
俺達がチンピラの言うことを無視して会話をしていたら、怒鳴って俺の胸ぐらを掴んできた。
このまま殴られるんだろうか。それならやり返しても正当防衛だよなあ…。とか思いながらそいつを睨んでいると、前髪の隙間から見える俺の目と、そいつの目が合い、そいつは愁の顔と俺の顔を交互に見て、次第に顔を青ざめさせていく。
嗚呼、何だやっぱり後者だったのか。
「……青色のメッシュ、"漆黒の目"……まさかあんたら……っ?!!」
漆黒の目。俺の目をみた奴等は必ずそう言う。
焦げ茶の瞳が多い中、言葉通りの真っ黒な俺の瞳は珍しく、噂にしやすかったのかそう言う奴等の間では俺の特徴の1つはそれで通っている、…と聞いたことがある。
そんな"狂狼"の特徴を持つ俺と"悪魔"の特徴を持つ愁。2人が揃っているのだから答えは1つしか無いだろうに俺達が"そいつら"なのか聞いてくるそいつに愁が嘲笑った。
「君の想像通りだと思うよー?」
……と。
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