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「ろ、狼城、魔咲…!!」
「あ?」
「は?」
翌日、 教室で携帯のゲームで共闘していた俺達にビクビクしながら話しかけてきたのはゲーセンでいた奴だった。
俺等の窺いながら、言いにくそうに「ええっと」だの「その、だな」と話しかけておいて中々本題に入ってくれない。
…恐いなら話しかけて来なければ良いのに。
俺等からお前等に干渉したりはしないから、怖いなら、関わらなければ良い。俺等だってそっちの方が楽だ。
「あ、その…前はありがと。助かった」
待つこと30秒弱。用件は何だと思えば昨日の礼を言ってきた。
まさか、怯えてるくせに礼を言ってくるとは思って無くて目をパチクリ。
…助けた、な。
「お前らがあそこにいなかったら…!」
それらしいこと言ってるけど俺等はスルーしようとしたからな。
お前は結果として助かったのかもしれないが、俺等は助けようとは微塵も思って無かった。
ただ、俺等の為に、絡まれてうざいかったから追い払っただけ。
「…礼を言われるようなことじゃねぇだろ」
「や、マジで!マジで助かった!俺さ、ちょっと離れた場所に住んでてあそこら辺治安悪いとか知らなくて…!教えてくれてマジでありがと!」
嗚呼…地元の人間じゃなかったのか。言い方からして隣の地区あたりか?
まあ、お前の住んでるところとか何処でも良いんだけど、俺が言ったあれを”教えてくれた”って。だからそんな優しいもんじゃねぇっての。
こいつ、あれかポジティブ思考ってやつか。
先までビビってたくせに話し始めたら止まらねぇし…訳分かんねぇ。
「っあ…!!わ、悪い…」
それで、また喋り過ぎたと俺等に謝って機嫌を窺い始めて。
本当に意味が分からない。怯えるか、話すか。どっちかにしてくれれば良いのに。少し困る。
そしてまた話し出したこいつの話では、あそこは近道で通ってたらしく、部活帰りだったんだがトイレに行きたくなってゲーセンに寄ったんだと。
何でトイレのためにゲーセン。コンビニ寄れば良いだろ…。
…馬鹿なのかこいつ。
「あ、その…俺吉柳琉生って言って…一応お前らと同じクラス」
「…そ」
「態々どうもー覚える気ねぇけど」
最後に、感謝ついでに自己紹介したこいつはやっぱり馬鹿なんだろう。
これが俺達がした吉柳との最初の会話。
これ以上関わることのないと思っていたこいつと、笑い合うほどの仲になるのはまだまだ先の話である。
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