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「ン…っは、……」
「ふふ、必死に飲んでる昴流可愛い」
結構な量を飲んだ気がするが、全く椿が手を離してくれる様子がない。
可愛いじゃなくて離せよ。もう俺要らないから。
首、疲れてきたんだって。
胸を強く叩いて要らないアピール。
それでも中々離してくれない頭のねじが飛んじまってるこいつ。
苛っとして足を踏んでやったらやっと離してくれた。
「っぷぁ……っは、ふざけんなよ手前ぇ…ッ!」
胸ぐらを掴んで怒りをぶつける。
そうすればこいつは嬉しそうな顔をして、ふっ、と笑った。
本当、理解不能だ。どこにも喜ぶような場所は無かっただろ。
「……ックク、今日は元気そうだな」
「あ?……っ、ん…」
キャップをきつく締め、形の良い指と指でキャップとボトルの繋ぎ目の窪みを挟んで、もう片方の手で和見が崩れないように気を遣ってくれているのか、軽く撫でてきた。
その手は段々と下の方に下りて行き、顎に指を添え、俺の頭を無理矢理上げさすとリップ音を立てて唇に吸い付いた。
そしてそれは段々と、触れるだけのキスから深いものに変わっていく。
訳の分からない要求をしてきたと思えば頭を撫でてきて、かと思えばまたセクハラして。さっきから何がしたいんだこいつは。
「ん……、ぁ、ふ…ッ、」
俺が逃げないようにペットボトルを持った方の手を腰に回して、角度を変えながら貪る様なキスをされる。俺の口の中に入ってきた舌が逃げようとする俺の舌を絡め取って背筋がピリピリと痺れる。
甘い刺激に次第に思考が溶けていき、抵抗する力が弱まっていく。
椿の舌は熱くて、その舌に歯列をなぞられるとぶるりと体が震えた。
セクハラされると言ってもキスはいつも軽いもので、こんな深いのをされたのはこれが2回目。
前と同じく嫌悪は無かった。愁とする時よりは劣るが、心地良かった。
「っは…、昴流可愛い」
「っ、ぁう……ッッ」
抵抗しなくなった俺にクスリと笑い、唇を離して、今度は耳にキスをして。
顎に当てられていた手が、顎から離れジャージ越しに俺のを弄りだした。
「っあ、や……ッ止め…ふざけ、んなぁ…っ」
「っふふ、直接触って欲しい?」
「そんなこと、言ってねぇ…っ!!」
同性にそういう目で見られんのは女の代わりみたいで嫌だし、男にされるのに抵抗があるのには変わらないがこいつにこういうことされんの最初程嫌だとは思わなくなっているのは俺も気づいてる。それは触られ過ぎて慣れてしまった…と言うよりは、否恐らくそれもあるんだが、出来れば慣れたくなかったが、体は分かってしまったんだ。こいつの手は温かいって。俺が欲しいものをくれるって。
でも、それとこれとは話が全くの別物で、それ以前の問題と言うか。ここはいつ人が通ってもおかしくない場所。そんな所で触られたい願望は俺にはない。
「人、来るから…っマジで止め…」
「イき顔見てもらう?」
「…っ、止めろ…!!ほんと、嫌だ…っ!」
「…ばーか。しねぇって。俺も限度は考えてる」
俺が椿の手を掴んでぶんぶんと首を横に振ると、苦笑いしながら手を離してくれ、「ビビらせてごめんな」と自分がしてきた癖に謝って来た。
俺が本気に取るとは思っていなかったのだろう。
だって、お前嘘だと思ったら本当にしてくるから。これは嘘は本当か分からないお前が悪いと思う。
と言うか、ここまで来て限度も糞も無いような気がする。
お前の基準が分からない。
「でも、ご馳走様。超可愛かった」
「…っ」
「おっと…そう怒るなよ。な?」
ぺろりと舌を見せる椿にかあっ、と顔に熱が集まって行き、拳を振り上げる。
手を下ろせと慌てて椿が俺を宥めてきた。五月蠅い。お前が悪い。
「ほら、ポカリやるから怒んなって、な?」
「…っわ」
俺と一定の距離を保ちながら、ペットボトルを2本、投げ渡してくる。
1本は俺に飲ませた奴。もう1本は未開封。
…愁の、なのか?
「…ありが、と」
「かーわい。お前厚着なんだから脱水症状にならねぇように気を付けろよ?」
「んっぅ…」
礼を言ったら小さく笑って頭を撫でてきた。
大きい、男らしい手。
脱水症状…それを気にして買ってくれたんだろうか。自分で飲ましたんだろうか。
…口で、言ってくれたら良いのに。セクハラ野郎の考えることは理解出来ない。
何でこいつはセクハラに走るんだろう。…応えてしまった俺も俺か。
「お前最近元気無かったから心配してた。…けど今日は楽しそうだから良かったよ。楽しめよ?球技大会」
続けて言われたそれに、驚いてしまった。
こいつは、そんなことも気にしてくれていたのかって。
今までそれをこいつが俺に言ってきたことは無かった。
梅雨にされたと言えば、以前よりも悪化したセクハラで。
それは、もしかして俺を安心させる為だったんじゃないか。
思えば、セクハラと言ってもこいつの体温が伝わる様なことしかされなかった気がする。
否、だから何でセクハラに走るんだって感じだけど。
…だけど、あの言葉に嘘偽りはないんだって実感した。
セクハラで俺への好意を示す事ばっかりのおかしな奴だが、俺が気付かない所でちゃんと俺の事を見てくれていて、心配してくれていた。
俺を守りたいと言ってくれたこいつ。
俺を怖がらなくて、むしろ好いてくれて、俺を心配してくれていて…俺の弱い部分を知って包み込もうとしてくれていて。
まだこいつの事を信じきることはできないし、好きではない。
「…ありがと」
「ふふ、デレ期なお前も可愛い」
けれど。
けれど、こいつといると、心が満たされていく。
…ほんの少しだけなら、こいつの好意を受け入れて、信じてやっても良いかもしれないって思った。
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