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「狼城!魔咲…ッ!」
3試合目も余裕で前半戦を終わらせて、休憩していると名前を呼ばれた。
声がした方に顔を向けると、俺等が先まで試合…嗚呼、愁との競争?をしていた場所から、生徒の中では圧倒的存在感を放っている長身の奴が走ってくる所だった。
名前は確か…えーっと、そう。吉柳って奴。
そいつはやっぱり、喋りだせば普通に喋れる癖に最初は俺らの顔色を窺がってから、本題を言い始めた。
「1人捻挫しちまって…お前等しか見つけれなくて…だからその…どっちか後半も出てくれないか…?この試合だけで良いから!頼む!」
確か、補欠がいた筈で俺等に頼むよりそっちの方が良いんじゃないのか。
だって、どうせ不本意なんだろ?
最初だけでも俺等の機嫌を見てから話すってことは、少なからず俺等が怖いってこと。
そんな奴等に無理に頼もうとしなくても良いだろう。
…と、思ったが言うのを止めた。
「お前等しか見つからなかった」。
前半組も、補欠も、姿が見えずいるのは俺等だけ。俺等に頼まざるを得なかった。
正直、先動いたばっかで疲れてるし出たくないんだけど…断れる空気ではない。
「めんどー…どっちが行く?」
「どっちでも」
「じゃあお願い。俺ルウちゃん以外にパス回すとか無理、合う気がしない」
「…ん…分かった」
愁に断られたので俺が立ち上がってコートの方へ行く。
吉柳は…というか後半組の奴等は俺等が受けてくれるとは思っていなかったのかそれに驚いたような顔をした。
お前等が頼んできたから出るのに、お前等も誰でも良いから人が取り敢えず欲しくて俺等に頼んだんだろ。なのに、何で驚くんだよ。
「…ありがとな狼城!」
「うぁ…?!」
「うわ、ご、ごめん!」
あまりその反応に良い気がせず若干の苛つきを覚えていると、吉柳だけは驚いただけで終わらず歯を見せて笑い、俺の背を叩いてきた。
でもまた直ぐにへこへこと謝りだして。
「俺は何をすればいい」
「あ、えっと…ボール取って、パスして、シュート…??あとリバウンド取ってくれたら…」
それって全部じゃねぇかよ。
疲れてるし、愁と競うわけじゃねぇから本気になる必要なんて無いし…サポートに回ろう。
自分のチームのゴール前辺りでボール取って適当に味方にパス回していくだけだが。
「シュートは、お前等」
「…おう、サンキュ」
「…っ、だから叩くな」
「わ、悪い!!ついいつもみたいに…」
ー『いつもみたいに』、なー
俺がいたらやり辛いんだろうに、何もしなくても良いとは言わない。
俺は怒ってる訳じゃないのに相変わらず謝ってばっかだが、前ほどは吉柳のこの変わり様が気にならなくなっていた。
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