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ーどこだ…?ここー
某日。俺の記憶は無くなった。
…のではなくて、軽い混乱状態に入っていた。
ついさっき、俺の感覚では1・2分程前。
バイトが終わって家に帰ってた所だった。
家まで後ちょっとの、帰り道に1ヵ所だけ街灯があまり無い場所があって、そこで頭を殴られて。
それで、今に戻る。
目は何かで覆われてて見えなく、多分椅子?に座らされてて、手は金属ぽいもので縛られていて、手首が冷たい。…多分手錠?足は椅子に固定されており、手足共に動かせない。
唯一使えるのは聴覚と嗅覚だが、この2つの感覚で混乱している状況を整理することは出来ない。
…何なんだ一体。
先、1・2分程前と言ったがそれは感覚での話なので状況から察するにその何倍も時間は経っているだろう。
兄貴に今から帰るってメール、バイト終わった時に送ったのに…最悪だ。
せめて、せめて兄貴にメールしたい。もし兄貴帰ってきてたら心配かけちまう。
「…やっと起きたか」
「……ぁ…?」
どうにかして外れないものかと手錠だと思われるものをガチャガチャと音を鳴らしながら四方八方に腕を動かしてみる。
それで分かったことと言えば子供が使うような玩具の手錠では無くて、簡単には外れない…恐らく、鍵が要るってこと。
愁ならどうにか出来ていたかもしれないが生憎俺にはそんなスキルは無く、無意味に金属音を悲し続けているとと右手の方から男の声。
見えないから、どこにいるのか分からない。
声を頼りに、声がした方に首を動かし声を発した。
「誰…?」
「悪魔に用がある」
「愁…?」
愁に用?…嗚呼、何となく予想出来た。
愁に用事があるのなら大方、俺の目の前にいる男は愁に落とされるなり、殴られるなりした奴、若しくはその関係者。それでこいつは愁に復讐しようとしているんだろう。きっと。
…否、待て、待て待て。何で俺それならこうなってんの?
俺愁じゃねぇよ?勘違い?
…否、それは無いな。あいつの見た目は中学の頃とそう変わってない。間違えるはずがねぇ。
なら、本当に何で?何で俺捕まってんの?
あ、まさか、愁は見つけれなかったから俺を使って呼び出そうって魂胆か……?
「…何で、俺を使うんだ。普通に学校前で待ったりしてりゃあ…」
「…あ?何言ってんだ?お前。"恋人"を傷物にすればあいつも少しは悔しがる顔を見せるだろ」
「え、…はあ?」
何。こいつ俺等を恋人だと勘違いしてんのか?
だから俺を、あいつえの復讐に使うのか?
俺は人質…なんて優しいものではどうやらなかったらしい。
「…なぁ、何勘違いしてんのか知らねぇけど俺等は付き合ってない」
「はぁ?こっちは手前ぇ等が学校でヤってる写真持ってんだよ。しらばっくれてんじゃねぇぞ」
「……は?」
学校…?自信気に言ってる辺り、嘘ではないんだろう。
学校でヤったことがあるのは、中学の時の愁と初めて会った時辺り、と梅雨。
前者の方は前も言ったレイプ。俺等がこう言う関係になる前の話だ。
後者は、俺が愁に何をされても駄目で、軽いパニック状態になってた時のこと。
俺等が、そう言う関係だって噂が無かった訳じゃない。
そんな噂があるって聞いたのは愁からで、中二の秋の時のことだった。
こいつが言う写真は後者である可能性が高い。
…が、俺等は恋人何てお綺麗な関係ではない。
だから、お前が言う今からしようとしている『愁の”恋人”を傷つける』復讐ってのはまず、根本的なものから成立していない。お前が望むような顔を、愁がする訳もないのだ。
俺がそう何度も言ってもこいつは「そんな訳無いだろ」…と俺の話を聞いてくれることは無かった。
「…もう良い。好きにしろ」
だけどまぁ、どうせ、その内お前の勘違いだと気付くだろうと思い、俺は誤解を解くのを諦め、そう姿形の分からないそいつに告げた。
これからされんのは『暴力』。それには慣れてるから。それにこいつが気付くまで耐えたら終わりだ。早く帰りたいから俺は、こいつの好きにさせてやることにした。
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