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「昴流の可愛い姿見れたしもうお腹一杯」
「っ、こ、ろす…っ」
「あら怖い」
後処理ついでに体と頭も洗って、風呂から出た。
こいつは俺とは真逆にルンルンで、俺を股の間に座らせて鼻歌を歌いながら俺の髪を乾かす。
その顔面を、殴ってやりたいと思った。割と本気で。
「そう言やあ、俺が来た時1人だったけど相手は逃げたのか?」
ふ、と思い出しワシャワシャと俺の髪をタオルで拭く手が止まる。
椿が自分か来る、直前の状況を訪ねてきて、俺は首を捻らせた。。
どう言えば良いんだろうか。…逃げたっつーよりは…
「目的を果たした?から帰ったっつーか…」
元々の目的は俺と愁の仲を引き裂くこと、愁への復讐だった。
…が、結局の所あれは復讐のようで、復讐じゃなくて。
あいつはただ、行き場のなくなった感情をぶつけれる場所が欲しかっただけで。
目的目的、とあいつも、俺も言っているが、目的を果たした…ってよりは…、
「…満足したから帰った?」
…ってのが適当かもしれない。
「満足…?」
「まあ…最初は愁への復讐だったんだけど…。俺等が蒔いちまった種。今回こうならなくてもいつかはなってた。…自業自得、因果応報。当然の報いだ」
「…ばぁか。それじゃあ矛盾してんだろ」
「…はあ?何処が」
何が矛盾してんだ…?
あいつの行動?…は、矛盾していない筈だ。じゃあ俺の発言か?え、何処ら辺だ?
「お前と俺はこれのお陰で恋人同士になった訳だ。昴流はやっと俺を信じてくれたし?…つまり、"良い事"だろ?これが"悪い事"とかいったら俺泣くからな」
本当に、こいつは。予測し得ない、けれど温かい言葉を掛けてくれるんだ。
「……"悪いこと"って言ったら」
「え、泣く…」
照れ隠し。嬉しい気持ちを隠す様にそう言えば椿の声が沈んで、思わず笑ってしまった。
「そんな訳無いだろ」
俺を守りたいと言ってくれた俺を好きな人を好きになれた。
家族なんていなかった俺が家族以上の存在を手に入れることが出来た。
悪い事な訳がない。
「あんもう可愛い。…けど嘘を吐く子にはお仕置きが必要だな」
「はっ?……っちょ、おい……っ?!」
また訳の分からないことを言って、俺に体重をかけるように抱き締めてくるそいつ。
俺が重たいと訴えようと後ろに顔を向けたとき、椿のと俺のが軽く触れ合った。
そしてそれは、俺の胸の中にあった大きく冷たい氷を溶かすように、次第に深く熱いものへと変わっていく。
唇が離れたときには、胸の奥がぽかぽかしていたくらいで、こんなにもキスだけで心が満たされるなんて初めてだった。
「っん、?どうしたの?」
「…温かい…」
もっと触れたくて、椿の温もりを確かめたくて椿の腰に手を回して、胸に顔を埋めた。
セックスしている時よりも、服って壁がある筈なのに温かくて。
やっと手に入れた大切な存在。
やっと手に入れた俺の"シアワセ"。
望んでも、願っても。手に入らなかったものの、それ以上のもの。
それが今、ここにあるんだと確かめるように強く、強く抱き締めた。
「…りょ…、好き」
「…っクク、俺も大好き」
だから絶対に、この手を離さない。
もう寒いのは嫌だから。
「俺…は重たいかもな」
「お前の愛なら上等。いーっぱい縛っちゃって?」
「変な…奴」
束縛するかもって言ってんのに笑顔で返してきて。
普通とは違う、変わってる所。そんな所に救われる。
出会いこそ最悪で、大嫌いだったお前が今では俺の中でとても大きな存在になっていた。
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