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『正直何であんな糞とって感じだけどお前が信じれると思ったんなら俺は何も言わねぇよ』
「……ありがと」
『愛想尽かされたら俺の胸貸してあげる。ついでに糞椿社会から抹殺してあげる』
「………ありがと?」
抹殺はやり過ぎじゃあないか…?
でもその位俺の事を心配してくれてるって自惚れても良いのか?これは。
『まあ、本題はそこじゃなくてだな。俺がお前に電話したのは大丈夫か確認する為でもあって…そこは大丈夫そうだから良いんだが。お前、昨日の奴の特徴を教えろ』
「…特徴?」
『嗚呼、そう。髪型、髪色、年齢、恰好。覚えてるだけ話せ』
あいつの、特徴。愁がそれを調べる理由。考えられんのは1つだ。
「おれ、だいじょーぶ…だから」
『お前を泣かされて?俺もちょーっと虫の居所が悪いって言うかさぁ…。大丈夫、俺がそいつ?そいつ関係の誰か?にしたことも踏まえてお話ししてくるだけだから』
「えっと…しゅー…俺ほんとに…」
声が、兄貴が黒笑する時のものと似ていて、自分に向けられているものではないがサアッ、と血の気が引いていくのを感じた。
お前もお前でちょっとがちょっとじゃないから…多分今のお前とあいつが会ったらあいつ立ち直れなくなるから…止めてあげて。
原因は少なからず俺等にあるんだし…。
『んじゃあ謝罪ついでに話してくるだけだから。…まあ、原因が俺だしなぁ。ごめんな昴流、辛い思いさせて。だから教えて。俺にけじめ、付けさせてくれよ』
「…明るい赤色の、髪で…短めで…服は黒くて…えっと…兄貴が着てるみたいな奴。後じゃらじゃらしてた」
『んー、おっけ。そん位あれば見つけれる』
そう言う風に言われたら止めようにも止めれなくて、覚えてるだけの特徴を話す。
カタカタと機械越しにキーボードを打つ音が聞こえる。メモを取っているのだろうか。
『…よし、ありがと』
「…ん」
『嗚呼、そう。ルウちゃんこれは確認なんだけどさ、そう言う関係になったって事は"ちゃんと話す"ってことだよね?』
愁に聞かれ、嗚呼、そう言うことになるよな。…と思い出す。
椿を信じるってこと、椿に頷いたってこと。それはつまりあいつに、"俺"を教えるってことだ。
『…頑張ってとしか言えないけど、無理ならまだ言わないで良いと思うよ。ルウちゃんが言えるようになった時に言えば良い。急ぐ必要はないよ』
「…否、話す、ちゃんと」
本当は怖い。
言ってしまえば、離れていくんじゃないかって思ってしまう自分がいる。
愁の言葉に甘えて言わないでおこうと思っている自分がいる。
けど、椿なら、こんな俺を好きだと言ってくれた椿なら…と椿を信じている自分がいるのも事実だ。
だから、話そうと思う。怖いけど、椿のことを信じて。
『…そう。頑張れよ。大丈夫だお前なら。お前の幸せを誰よりも願ってるよ』
「…ありがと」
俺の背を押してくれてるのはいつだって愁だ。
だから俺は、お前がそうやって笑っていてくれるから、怖くても前に進める。
本当に感謝してもしきれない。
「愁」
『ん?』
「…俺が椿に話せたら、俺がお前の背中を押す番だな」
俺達は互いに依存し合う。
"自分"守るために利用し合う。
"傷"を癒すために慰め合う。
そんな歪な関係だけど、だからこそお互いの幸せを願ってる。
"傷"を誰よりも理解出来るからこそ、幸せであって欲しいと願う。
お前に出会わなければきっと兄貴にも、椿にも出会うことはなかった。
お前が俺を変えてくれた。
お前が俺の背中を押してくれたからだ。
俺は十分お前に背中を押してもらったから、だから今度は俺の番だ。
俺が、お前の背中を押して、それで変える番だ。
「俺もお前の、"親友"の幸せを願ってる」
『【親友】…な。サンキュ』
最初は"玩具"と"殴る"関係だった。
今のような関係では無くて、互いに相手をこう思う何て考えられない程の仲で。
けれど、けれど今ではお前は俺の一部と言っても過言ではない位に大切な、大切な相棒だ。
「…俺、愁に出会えて本当に良かった」
ありがとう、愁。
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