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それからはまぁ、喧嘩して、ヤっての不健全そのものの生活をし続けて。
そんなこんなで時は流れ俺は中3になった。
俺は今のバイト先に入り浸って、良く夜遅くまでいて、そこで優さんに世話になっていた。
中学生が夜遅くまで。
店の経営者と言う立場からして面倒な話だと思うが、優さんは何も言わず「いたいだけいれば良い」と言ってくれて、俺はそれに甘えてた。
ずっと愁といることは出来ないから、愁がいないときはここが俺の逃げ場だった。
それはその日も例外ではなく、確か、日にちを越すか越さないかの時間に、1人の男がベルを鳴らして店に入ってきた。
「そいつは、俺の隣に座って鬱陶しい位に俺の事を聞いてきた。『家出?』とか『いつもここにいるの?』とか」
最初は全く相手にしなかった。
俺にとっては何言ってんだこの人って思う程度で、初対面のそいつに俺が答える義理も無かった。
しつこくなって、その日は奥の休憩室に逃げ込み、そこで寝た。
どうせ会うのは今日だけだろうと思っていたんだけれど、それ以降かなりの頻度でその人と会うようになって会う度にその人は飽きもせず質問してきた。それがうざったくなったら休憩室に逃げて。また会って、質問されて。その繰り返し。
10回くらいそれが繰り返されていくうちに諦める気配のないその人に折れ、少しずつだけど会話をするようになった。
そして、バーで会っては会話をして…それだけの関係だったその人にいつしか俺は愁にしか言ってこなかった弱音を吐き出すようになっていった。
『誰も見てくれない』
『どこにも居場所がない』
『生きている実感が湧かない』
『"俺"が何処にいるのか自分でも分からない』
『辛い』
『苦しい』
『寒い』
「何だっけな…嗚呼、しねば楽になるんだろうかとか、そういうのも言ったかもな」
あまりあの時何を言ったのかは思い出せない。
ふと思ったことをぽつぽつと愚痴を零す様に言っていただけだったから。
「でも、そんな下らねぇことを餓鬼みてぇに何度も何度も繰り返す俺を、鬱陶しがることなくただその人は黙って聞いていてくれた」
時に相槌を打って。
俺が言いたいだけ言って落ち着いたら、その人はいつだって「ここにいるときは俺がお前の居場所になってあげる」って言ってくれた。
その言葉の通り、その人は俺に温もりを与えてくれた。
酒ばっか飲んで、酒癖は悪いわ。
そんな人だったが、俺とゲームで遊ぼうと誘ったり、晩飯を奢ってくれたり。俺が怪我だらけで来たら手当てしてくれたりもした。下手糞だったが。
直接的な温もりは頭を撫でられる程度だったけど、その人といる時間は嫌なことも忘れられた。
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