アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13
-
「本当に良いのか……?」
「良いよ、やっちゃってーもうブスッ、っと」
遡ること数分前。
椿がピアスをしたいから開けてとニードルを俺に渡してきた。
ピアスを開けたいのはお前の自由だけど椿は俺に開けて欲しいって言ったけどこういうのはちゃんと病院でやるべきだと思う…。それか、俺みたいにそういう専門の所で開けるとか。
殆ど自分でしてた俺が言うのもあれだけど。
でも何でいきなり?
こいつは1個もピアスを付けてない。痕もないから1回も開けてないんだと思う。
そんな人がいきなりピアスを開けたいと思うだろうか。
椿の年位の人間で急にピアスに趣味として目覚める人はいないと思う。何か相当なきっかけが無い限り。
俺がそう理由を聞くと椿は笑って「ピアスならお前とお揃いにしやすいでしょ」と答えた。
お揃い、何て他にもやろうと思えば出来るのに。
男同士でお揃いだなんて女友達じゃないんだから、女々しいって避ける所だろう。
…と、思う所は色々あったけれど、椿が言ってくれたお揃いって言葉と、ピアスって形でそうしたいと言われたのが嬉しかったのは椿には内緒。
「どこに開ければいいの」
「左の耳朶。俺はお前の"ナイト"だろ?あ、お前は右な」
ピアスには意味がある。
左につければ守る人、右につければ守られる人。
言わば、左は男性、右は女性。
付けたことねぇ癖にこう言うこと良く知ってたな
「俺のお姫様アピール皆にして頂戴」
「……誰がアピるか」
「えー…」
唇を研ぎらせて、俺が拒否したのを残念そうにする。
当たり前だろ。何で俺が周りにそんなことアピールしないといけないんだ。
お前と俺が意味を知っているだけで十分だろう、こう言うのは。
…あれ、お揃いって見せ付けるもんだっけ?俺そんなんしたことねぇからなぁ…。
まぁ、男のお揃いはそう言う程度のもので良いだろう。
見せ付けて変な視線送られる方が嫌だ。
だからその願いは拒否することにして、ピアスの準備をしていく。
軟膏をニードルに詰めて、外にも塗って。
開ける場所を確認して、1度深呼吸する。人にやるのって緊張する。自分のは失敗しても何とかなるけど人のだもんな…。
でも、開ける側がこんなんじゃあ、余計に痛くしてしまうだけだから気持ちを落ち着かせ、一気にニードルで皮膚を貫いた。
「ッ…、ッ゛」
「……あ…へ、平気…?」
「んー…、思ってたよりは痛くないけど痛いな」
そりゃあそうだろうな軟膏しか塗ってないし。
病院ならもうちょい上手くしてくれると思うが…俺にはこれが限界だ。すまん。
ニードルを抜いてピアスを通した後、消毒液をガーゼに染みらして血が出ているそこを綺麗に拭いた。
涼の左耳にキラキラと真っ黒なそれが輝く。
顔が良い奴は基本何しても似合うらしい。初めてのピアスの癖して違和感が全くない。今までも付けてたみたいだ。こう言ったら嫌味に思われそうなので、良い言い方に言い直せば似合ってる。
「終わり」
「サンキュ。昴流耳見せて?」
「あ?」
「俺が付けてあげる」
「……ん」
さっさとニードルは捨て、軟膏の蓋は閉めてと後片付けを済ませて、言われた通り椿に右耳を向ける。
椿はどこにしようかと楽しそうに考えながら、俺が付けていたピアスも弄って、椿のと同じビアスを俺の耳に付けた。
「ふふ、やっぱお前には黒が似合う。超可愛い」
「……可愛いか?」
「嗚呼、凄く可愛い。黒にして正解だった」
可愛いとは程遠いシンプルなフープピアス。
それに可愛いは男として複雑だ。こいつは今回だけじゃなくて何度も俺を可愛いと言っているけれど。
だが、まぁ椿が似合うって嬉しそうな顔をして言うんだから、別に良いか。言わせておいて。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
73 / 1113