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「どうですか?お菓子の方は」
有言実行。
寝かした生地から型とって焼いている時にやって来たそいつ。
女子からは人気が高いのもあって黄色い声が家庭科室に響いた。
本当、何だろうこいつ。マジで来る?普通。
仕事どうなってんだよ…。仕事あんのに暇人なの?
「狼城君は何の担当ですか?」
「…クッキー」
「…へぇ…。もう出来ました?」
「今焼いてる。…見て分かれ」
暇人が調理進度を見る様に家庭科室を見て回る。
女子と進み具合について話した後、俺に話し掛けてきて、焼いているクッキーが入っているオーブンを覗く。
後何分位かと聞かれたので「10分位」と返した。
「っふふ…、じゃあ、出来たら昴流のお菓子全部俺に頂戴ね?」
「…っ?!」
"椿涼"として俺の耳元でそう呟かれ、ドキンと心臓が跳ねる。
心臓に悪い。だってあいつ、教師の時とこの声若干だけど違うんだよ。
マジビビった…。
「糞に何言われたの?」
「…俺が作ったの全部くれだと」
「うわ独占欲強過ぎー」
愁に何を言われたのか聞かれたから正直に話せば、その内容にケラケラと笑う。
椿の独占欲強い。…そうだろうか。
俺はそうは思わないんだが…、何で先の台詞だけでそう判断出来るのだろう。
「だってルウちゃんが作ったの全部俺のもの、イコールルウちゃんが作ったのを誰にも食べさせたくないってことでしょ」
そういう捉え方も出来るのか。
否でも、それでも謎は残る。
仮にそうだとするのなら、俺が作る側に行くの止めたら良かったんじゃないのか?
だって、食べられたくないんだろ?じゃあ、俺が作らなかったら良い話だ。矛盾してないか…?
「お前鈍いにも程があんぞ…?」
「は?」
理解出来ず、首を傾げ愁の言葉の意味に考えを巡らす。
そんな俺を見た愁にはぁあ、と大きく溜息を吐かれた。
何故、俺は今溜息を吐かれた。
鈍いって何だ。俺にも分かる様に言って欲しい。
…最近、人の言葉が理解出来ないことが多くなった気がするのは気のせいであって欲しい。
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