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放課後の理科室。学校で2人きりで会う場所に最近良く使うようになった、その教室。
テストのことでだろうか、涼に呼び出されそこに足を運ぶ。
「やれば出来るんじゃん」
理科室に入った時、印刷したのであろう俺のテスト結果のコピーを見ていた涼が俺の方にをちらりと見て、その紙を机に置く。
俺においで、と隣に来るよう手で指示してきてそれ通りに涼の元へ行くと、涼の手で頭を覆われた。
「…やれば出来るって…お前がやれって言ったんだろ」
「それでマジで1位取る辺り凄ぇよな。しかもほぼ全教科満点」
小学生にするように頭を撫で、褒められる。
へー、満点多かったのか。点数は見てなかった。
…あんまり、こうされても嬉しくはないな。
小学生の頃は嬉しかったんだろうが、やっぱ歳が歳だよな。
でも、温かい、とは思った。こうやって自分がした結果を褒めてもらえることは。
「教師たちが騒いでたぜ?お前と魔咲カンニングでもしたんじゃないのかってよ」
「は…、え?」
カンニング?する訳ないじゃん。
しなくても分かる問題を何でカンニングしないといけないんだ。それこそ時間の無駄だ。
だけど、周りがそう思ってしまうのは無理ない…のかもしれない。
今までは平均以上とは言え100位から50位をうろちょろしていたのが急に1位と2位になってんだから。
そしてそれが普段授業をそこまで真面目に受けていない不良の部類に入って、かつ地元では恐れられている奴等ときた。
俺が教師だとしたら、その可能性を疑っていただろう、きっと。
「うちの可愛い昴流ちゃんがそんなんする訳ないのにな?」
曰、俺等はカンニング疑惑が浮上し生徒指導に引っかかりそうになったのを涼が止めてくれたらしい。
どう言った内容を言ったのかは教えてくれなかった。
それよりも、だ。
「『可愛い昴流ちゃん』…って何だよ」
「そのまんまの意味」
そのまんまの意味…なぁ。
「…俺そんな言う程可愛くないだろ」
最近はもう「可愛いって言うな」と突っ込む気すら起きなくなったそれ。
けれど、疑問が残る。
俺何かの何処がこいつには可愛く見えているんだと。
涼以外も時々言ってくるが、俺はその形容詞が似合う程の人間ではないと自信を持って言える。
「ええ…こんなに可愛いのになぁ…」
「っひ、ン…?!」
「こうやって俺が触っただけで小さく喘いじゃう所とか?最近どんどん敏感になっていってる所とか?」
俺の耳を撫でながら理解出来ない俺の可愛い所を語りだしたそいつ。
それは止まる気配を見せず、勢いは増していくばかりだ。
「寂しがりな所も可愛い。それから笑った顔。幸せそうな顔。後、そうだなぁ…服の肩幅が合わなくてカーディガンが萌袖になっちゃってる所とかも…。…ふふ、まだまだいーっぱいあるよ?可愛い所しかない」
可愛い所しかねぇ、って…。こいつに俺は何に見えているのだろう。
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