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それから、数日が経った。
「うわ、今日も引っ付かれてんじゃん」
「…嗚呼」
あれだけ断られていたら諦めるだろうと踏んでいたのだが、現在進行形で涼にアタックしている。
最近じゃあ俺が涼を見た時にいつも隣にいる気がする。
そいつの名前は愁情報では久世と言うらしい。
愁が聞いた話によると上級生の間では面食いでイケメンには媚を売ると有名…なようだ。
中学の時がそうだったんだと。
そのターゲットにされてしまった涼。
俺からはドンマイとしか言えない。
「引っ付き過ぎだって怒らないの?」
「…怒ったって涼にはどうしようも出来ないだろ」
そりゃあ好きな人だ。
涼に必要以上に近づくそいつを見てモヤモヤするものがないって言えば嘘になる。
だけど、向こうが勝手にしていることで涼が悪い訳ではないから。
それに、俺がイラついてんのはどちらかと言えば…、
「あ、またルウちゃん見た」
そう、"これ"だ。
久世とは絶対と言って良いほど1日1回は目が合う。
そして目が合えば久世は俺に向かって笑って、涼に何もなかったように話し掛ける。
最初は気のせいだと思っていたがそれは確信に変わった。
だが、前も言ったように学校での俺と涼には何の接点もない。
だから何がしたいのか分からなくて余計にイライラするって言うか。
「あそこまで来るとルウちゃんに見せつけてるよね」
「…何で」
「何でって…バレるんじゃないの?」
「そんな筈ねぇ」
愁が言いたいことは分かる。
地味な嫌がらせ?挑発?を繰り返してくる理由はそれしか俺も思いつかない。
けれど、愁以外の奴がいる所で涼の事を名前で呼んだ記憶はないし、俺から話し掛けた記憶もない。
涼も俺と同じ、教師として俺に接している。
俺等が付き合っていると向こうが確信を持てるほどのものは無いんだ。
「イチャついてるとこ見られたんじゃないのー?放課後にでも」
…そうなのだろうか。
でも俺等が会っているのは実験棟の最上階、しかも1番奥と言う如何にも人が実験での使用目的以外で行かなさそうな理科室。
そりゃあそうは言っても普段そこが職員室みたいな、涼が半私物化している教室だから授業で分からない所があって誰かが相談しに訪れたり、掃除当番で掃除しに来たりして放課後の来訪者は0では無い。
もしかしたら俺等が気付いてないだけで、見られてた…のか?
「まぁ、どうやって知ったのかはどうだって良いんだけど…気を付けた方が良いよ。アイツ好きなやつの周りにいる人間を精神的に追いやって離れるように仕向けてるらしい…って3年の奴等が言ってたの聞いたから」
「…へぇ」
お前怖がられてるのに良く情報集めれるよな。
こいつの凄い所はそこ。どこから集めてきたのか、大量に情報を掴んでる。
本気になればきっと1ヵ月あればこいつなら学校の全生徒の住所を特定することなんて容易いのではないだろうか。この面で愁に勝てる人間は1人もいない…と思う。
「嫌なことされたら俺に言えよ?"落とし"返してやるから」
「…さんきゅ」
悪魔にそんなことされたら精神的に追いやられんのは俺じゃなくてあいつの方かもしれないな。
面倒臭ぇ奴に好かれたんだなぁってその時まではそう思うだけだった。
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