アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
「…用件はこれだけか」
すっかり黙ってしまった久世。
俺がそう聞いても黙っているだけなので教室から出ていこうとした時だった。
「何でお前は…!」
「…っ゛!?」
急に口を開いたかと思えば、俺の胸ぐらを掴んで声を荒げた。
襟が上がて息苦しい…が、耐えれない程じゃあない。
「何でお前は"壊れ"ない…?!文化祭の時だってそうだ!あの人から"あれ"で離れてくれると思ったのに…!」
…文化祭…?
それは、何だ。レイプのことを指しているのか。
あの時の写真を持っていたこいつ。自分がしたかのような口ぶり。
「…あれはお前が仕組んだってことか」
「嗚呼、そうだよ。お前が『桜木の落ちこぼれ』だと教えたのも僕。あれでお前が"壊れた"と思ったのに!何でお前は…っ!」
…何であいつ等が俺の前の名字を知っていたのか疑問だったがやっと分かった。
あの時の男にこいつは接触して、俺の事を教えたのだ。
こいつとは同じ学年だから俺の前の名字を耳にしていてもおかしくはない。
そしてこいつは知っていたんだ。
それが俺の"弱点"だと。
ずっと俺を観察しとけば分かる事だから知っていたことに疑問は抱かない。
その弱点をつけば俺が不安定になることも知ってたからそうすれば"壊れ"、涼から俺が離れるという自信があった。…って所だろう。
…だけど久世は何か勘違いをしている。
俺はもうとっくに壊れちまってる。何処にかは分からない、歯車も、歯車を繋ぐネジはもう何個も落としてしまった。
新しくその外れた部分に部品を埋めれても最初にあった部品が戻って来た訳じゃあない。
"元の俺"は壊れたままだ。
だから…、"どれがどこのパーツかすら分からない位に"俺が壊れる。お前はそれを望み、行動に移すべきだったのかもな。俺をどうこうしたいのなら。
…否、あのままであれば本当にそうなっていたかもしれない。
"俺"だけじゃあ、涼との縁を切って崩れてしまっていた。
嗚呼…そうだな。そこだけは良い線を行ってたな。勘違いしまくりだが。
俺が壊れきらなかったのは俺の隣に居たのが"涼"だから。
あいつが俺を支えてくれたから。涼だから、俺はあの後でも涼の傍にいれている。
そうならなかったのは"俺だから"ではない。
…なんて言っても分かんねぇか。
だってこいつ"椿涼"を見すぎて"涼自身"が見えてねぇもん。
椿涼はこうだってイメージが出来上がっちまってるって言えば良いの?
だからこいつは"俺が"涼から離れるって考えしかなくて、"涼から"俺に近付くっていう逆のパターンを考えてない。
…どう言えば良いんだろう。
こいつにとって涼は"アイドル"…って存在が近いのかもしれない。
言ってる俺もよくわかんねぇけど。
…何つーか、何処に行っても熱狂的ファンってのは怖いもんだな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
134 / 1113