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見事綺麗に入った愁の拳に小さく呻き声を上げ、ずるずると昴流の体が崩れ落ちていく。
その昴流の身を愁が支えながら床に寝かせた。
「…ごめんな」
自分のせいで意識を手放した彼の頬を愁は優しく撫でると、くるっと体の向きを変え久世の方を見た。
…のだが、足元に散らばった写真に目が行ってしまって腰を屈めてそれを手に取った。
それらに写っている昴流は全て性的に乱れていた。
中学の、自分のせいで巻き込んでしまったもの、文化祭の、椿との。
何となくここでの出来事…そして文化祭での"あの"一件の裏で何があったのかを理解した愁は、ギリ、と歯ぎしりさせ、グシャッと写真を握り潰して今度こそ久世の方を向いた。
「本来骨が2本は折れてる所を"それだけ"で済んだんだから運が良かったねぇ?ま、自業自得だよなぁ」
…と、久世の事を嘲笑する為に。
本当は、殴ってやらなければ気が済まなかった。
が、高校を卒業したいと言う昴流の思いを知っているからこそ自分が大事にすることも出来ず、ポケットに突っ込んでいたサバイバルナイフをカチャカチャと弄る。
「本当、舐めた真似してくれるよね」
それが意味するのは文化祭での出来事。
やはり愁が感じた違和感は気のせいでは無かったと、写真を見て愁は確信した。
自分が他校の生徒に囲まれ、中々戻れなく、昴流が探しに行き、絡まれた。
それは、久世が計算したこと。
愁が戻れないような状況を作り、昴流が1人になる状況を意図的に作り出した。
でなければあんなにタイミング良く写真が撮れる訳が無い。
「…あは、そんな分り易い挑発されたら乗ってあげるしかないよねぇ。どう?嬉しい?構ってちゃんだからすっごい嬉しいよねぇ?」
パサリ、と愁が菓子袋から久世が座り込む床に放り投げたのは愁がしたのであろう、書き走り。
それには誰かの名前、それから学校名が書かれており、それを見た久世は顔を青くさせた。
「本当は使うつもりは無かったんだけどね、構って欲しいんだから仕方ないよね、俺超優し~。…嗚呼、告げ口しようとか思わない方が身のためだよォ?お前が"裏"で今までやった来たことが"表"に出たくないなら、ね」
愁が書いていたもの。それは久世が行っていた中学校名、それからそこで彼が目を付けた人物の1人の、名前。
涼に引っ付き、昴流が不機嫌になっていくのを見て久世について調べた際に偶々知ったものだ。
だから本当はそいつに何をしたのかとかそれ以上のことは全く知らないし、興味すら無いのだが、そうと悟らせない愁の"悪魔"そのものの笑顔が、そんなただの紙切れを紙切れだとは思えなくさせ、久世に恐怖を植え付けた。
「…あー、後次この糞に引っ付いたり、昴流に何かしても同じだから。その時はまたお誘いだと思って遊んであげるねぇ。と言うかもう次の日から外に出れないかも…ね?」
「ひ…っ?!!」
言っていることと不釣り合いなほどにニッコリと笑う愁。
まるで久世の"死"を告げるようにワラウ悪魔を前に久世の体は恐怖で震え出した。
"目が合ったが最後"
昴流にしろ、愁にしろつまりは"こう言う"ことだったのだと久世はこの時初めてその言葉の意味を理解した。
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