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「…それ、お前本当に言ってるの?」
「…だ、って…おれ…」
刹那、涼の目が鋭くなってビクリと肩を震わす。
何で、怒ってるのか分からない。
でも俺が言ったことで怒らせたことに変わりなく、また嫌な空気にしてしまったと自己嫌悪。
俺は、涼に迷惑をかけることしかしていない。
「…ったく」
「…びゃ…っ?!」
「ほんとお前頭良い癖に馬鹿だよな」
「ぅ…?」
はあ、と涼が盛大な溜息を吐いた後、デコピンをしてきた。
額を押さえながら涼の言っている意味が分からず首を傾げるともう1度「馬鹿」と言われる。
…2回も言うことないじゃん…。
「あのさ、俺が本当にお前のこと迷惑だと思ってるんならお前の隣で今、こうしてる訳ないだろ」
「…あぅっ…?!」
ぐしゃぐしゃと俺の頭を荒々しく撫でる。
やっぱり涼は怒ってる。
俺が迷惑に思っていないのなら何で怒っているのか見当もつかなくて、涼と目を合わせず、俯いたまま何で怒っているのか聞いた。
「…昴流に怒ってはないよ。怒ってるとしたら向こうに、だな。お前に怒る訳ないだろ?…それに、お前は俺がその場の空気に流されて謝るような奴に見えるのか?」
その問いかけにぶんぶんと首を横に振る。
違う、そうじゃない。涼が八方美人だって言いたかった訳じゃない。
お前は、俺がこんなのだから、俺を安心させる為に謝ったんじゃないかって。
「そうなら別の言葉を掛けてる。俺がお前を謝ったのはなぁ…いつも守ってやれねえからだよ。俺はいつもお前を不安にさせちまう。…守ってやりたいとか言って、守れたことはない。ごめんな」
「ち、が…」
違うよ、涼。
俺は涼がいない所で良く取り乱してしまうけど…でもそれで涼が自分を責める必要はない。
「俺は、それ以上のもの…涼にもらってる、から…」
涼は俺が取り乱したらいつも隣にいて、俺を抱き締めてくれる。
俺が欲しいもの、一杯くれて。俺は、涼といるだけで寒さを忘れられる。
俺はいつも涼に寒さから守ってもらってる。
「お、れ…涼に一杯"幸せ"もらってる」
だから、自分を責めないでくれ。
"1度も"なんて言わないでくれ。
「…本当お前は、"優し過ぎる"」
「ん…っ、?」
「相手のことになるとこうなんだから、敵わないよお前には」
また、涼は深く溜息を吐いて、ガシガシと自分の頭を掻いた後、先とは違ういつも通りの優しい手つきで俺の頭を撫で、額に唇を落とし、そして微笑んだ。
「俺もお前に沢山"幸せ"を貰ってるよ」
涼の表情は幸せそうなそれであった。
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