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次に目を覚ましたら視界一杯に真っ白な天井が広がっていた。
腕には点滴、服は全く見に覚えのないものに変わっていてここが病院なのだとわかるのは直ぐの出来事だ。
「…兄貴?」
手を握られているのに気がついて、そっちのほうを見ると俺の手を握りながら眠る兄貴がいた。
「ん…すば、る…?」
「おはよ、兄貴」
空いている方の手で兄貴の頭を撫でるとピクンッと体が揺れた。
目を開けた兄貴に微笑むと、兄貴が泣きそうな顔をして抱きついてきた。
その腕は震えていて、傷に響くからいきなり抱きついてくるのは止めてほしかったのだがその気持ちを堪えて抱き締め返した。
「良かった…もう目が覚めねぇかと思った…」
「…ごめん」
「頼むからもうこんな危ない真似しないでくれ」
「…嗚呼、ごめん」
兄貴に迷惑をかけた申し訳なさで、初めて喧嘩をしたのを後悔した。
中学の頃は、こんくらいとまではいかなくても入院してもおかしくないんじゃないのかってレベルの怪我は何度かしたことがあった。
だけどそんなんになってもあの2人は全くの無関心だった。
愁は怒ってくれた事もあったけど、その行為に後悔したことは1度もなかった。
…多分それは怒ってくれたのが"家族"かどうかの違いで、家族が"いる"ことがこんなにも違うだなんて思ってもみなかった。
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