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「たまには外の空気吸うのも良いでしょ」
「そうだな」
「少しは面倒臭がらずに自分から外に出てみたらどう?」
「…嗚呼」
とある休日。
愁が訪れ、部屋から一歩も出ず暇を持て余す俺に外に出ろと言ってきたのが数10分前の出来事である。
愁に車椅子を押されながら着いた先は、色が統一された病室とは違い、緑豊かな庭。
俺の家はマンションで庭なんてないからこういう場所は新鮮でどこか心地良く感じた。
「すいませーん!ボール取ってくださーい」
足元にソフトボールが転がってきて、活発でいかにも最近の小学生な少女が駆け寄ってきた。
キャッチボールをしていて取り損ねたのだろうか。
傷をかばいながら身を屈め取り、車椅子を動かして少女に渡した。
「?何」
中々渡しても動かないので少女の顔をみると目があった。
じぃ、と少女が俺を見つめている。
…何かついてる?
「お兄さん目、綺麗な色」
「あ?」
「真っ黒で凄く綺麗。ほら焦げ茶の人ばっかりでしょ?」
「…嗚呼、そうだな」
日本人の色素量の関係上、黒に近い茶色があっても真っ黒ってのは珍しい。
それは色んなやつに言われてきた事なのだが、真っ黒だから光の反射が分かりにくいこの目を怖いと言われたことは多々あっても綺麗と言われるのは余り無いからどう反応すればいいのかわからない。
ここは礼を言うべきなのだろうか。
「それと、お兄さん髪長いから遠くから見たら女の人かと思っちゃった、髪切ったらどう?」
「…嗚呼、」
「ぶはっ、そうだよ切りなよそろそろー、女の子になるつもりー?」
「…五月蝿い、殴るぞ」
まさか、小学生に髪の長さを指摘されるとは思ってなかった。
確かに最近全く切ってなくて、剃ってた方の髪も良いくらいに伸びた分剃ってなかった髪は長くなってる。後ろの髪なんて余裕で束ねることが出来るくらいだ。
男にしては長すぎるくらいだと自覚はある。
けど、女に見えたって言われるのは……少しだけ傷つくものがあるな、男として。
小学生は純粋な分、言葉がストレートでたまに棘がある。
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