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指定された場所へ着き、席へ案内される。
そこまでは良かったのだが、そこに座っているのは涼…ではなく女の人。
店員にここであってるのか確認したがここであってるらしい。
涼が女に……ってのは現実的に考えてまずない。…じゃあ誰なんだこの人。俺は会ったことはない。
「…もしかして君が昴流…くん?」
「……あー、はい」
「私てっきり女の子が来るのかと思ってたわ。…ああ、どうぞ座って?」
「…どうも」
清楚な感じの、髪の長い綺麗な人。
言い方からしてこの人が俺を呼んだのは間違いない。…あれ、けど携帯は涼のからだったよな…?
「椿さんの携帯を使って俺を呼んだ理由を聞いても良いですか」
「君と話がしたくて?」
「…普通知らない人と話したいなんて思いますがね」
「涼経由で知ってたから全く知らないわけではないわね」
「…はあ、」
ー"涼"、ね…ー
名前呼びなんてどこも可笑しいところなんてないのに胸に引っ掛かった。
「椿さんとはどういう関係で」
「あら、ここに呼んだ時点で察せれない?」
「…はあ?」
「…そういう昴流君も涼とはどういう関係なの?」
「どう、と言われても…」
俺達以外にも客はいるしここで恋人と言うのは避けた方がいいかなと思って俺は少し考えて「教師と生徒です」と答えた。
「嘘、……本当はもっと深い関係なんじゃない?」
「…っ、」
体に問うように、彼女の手が俺の頬を撫でる。
「普通に考えて普通教師が生徒個人のアドレスを持ってるわけないでしょう?」
「…っふ…、そう言われればそうですね」
頬を伝って耳に女の指が触れ、そして撫でる。
それはまるで愛撫のそれであって、俺は逃げるように頭を引いた。
「ふふ、それで合ってた?」
「…ええ、付き合ってますよ」
分かる嘘をついたら面倒なタイプの人間だとこれで嫌な位に良く分かったので否定することはせず素直に認めた。
…すると先までの柔らかそうな雰囲気はなくなり俺を敵視するその目。
別人のようで、その急な変化に驚きビクッ、と体を震わせた。
「…私と涼がどういう関係かって君聞いたよね」
「…ええ」
「もう言うけど、私涼と付き合ってるのよね。2年位前から」
「…え、」
「…ねえ、この意味分かる?」
…涼と、付き合ってる?
しかも2年前…俺よりも長い間…?
「信じれないとか思ってる?…残念だけど事実よ。貴方に私は涼をとられたの。」
俺が、この人から涼を取った…?
付き合ってる人がいるなんて涼あのとき一言も言ってなかった。…というか涼が浮気なんてするような人間には思えない。浮気になる前に自分から別れを告げてきそうだし。
…けど、あの親しさは付き合ってるって言われると納得できるし、彼女が俺を呼んだ理由だって説明がつく。
……じゃあ、本当に俺はこの人から……?
「知らない間に浮気された私の気持ち分かる?」
「……すいません」
「なに、謝るから許してってこと?そんなんで許せると思ってるの?」
「それ、は…」
彼女が言いたいのは「今すぐ涼と別れろ」。
俺はそんなつもりはなかったけれど彼女からしてみれば俺は涼の浮気相手なのだからそう要求するのは当然のこと。
ー邪魔なのは、俺だけー
頭では分かってる。俺は横から入ってきたイレギュラーな存在なんだって。
俺が涼と別れたら"あるべき"関係に戻る。
…けど、
「…別れたくは、ないです」
俺から涼を取られたら、きっと俺はもう生きていけれない。"寒い"世界に戻りたくない。
「貴方、自分の立場分かってるの?」
「…分かってますよ、ちゃんと。でも嫌です」
俺がこんなこと言える立場じゃないってこと。
だけど、俺にとって涼は今ではそのくらい大切な存在なんだ。
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