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「急なんだよ!!馬鹿兄貴!!」
「ははー、ごめんごめん昨日の深夜メール来てさー」
「それが急って言うんだよ!つか昨日のうちに教えといてくれよ!ああもう!洗濯機回して!」
「はいよハニー」
「誰がハニーだ!」
朝の7時。休みの日に起きるにしては早いその時間に俺は朝っぱらから怒鳴りながら昼からするつもりだった家事をせっせと終わらせていく。
事の始まりは30分くらい前。
寝ていた俺の部屋に兄貴が急に入ってきて「正月だし家族で食事でもいこうぜ」という言葉と一緒に俺を起こしてきた。
兄さんと父さんの2人が奇跡的に同じ時間に暇を作れたらしい。
医者だから忙しいのもわかるし、こういうのが急になるのも理解できなくもないけど昨日連絡来てたんなら昨日のうちに言ってくれ。そうしたら朝こんなに慌てなくてすんだのに…。兄貴はマイペースだし言っても無駄なんだろうけど。
「昴流、今更なんだけどお前大丈夫?行くの止める?」
本当に今更な質問に俺は朝食を作る手を止めた。
兄貴が聞いてんのは、「父さんがいるけど大丈夫か?」ってことだ。
兄さんとはちゃんとはなせれたけど、まだ父さんとは話せれてない。
本音、気まずい。
「…気まずいけど、行く」
ここで逃げたら父さんとちゃんと話せないままな気がするから。
「そっか」
「うわ…っ?!ちょ、兄貴俺今火!火使ってる!!!」
「あら、めんごー」
「軽いな!!」
目玉焼きを作っているところで頭がぐわんぐわんするくらいの力で撫でられた。いやこれを撫でると言うべきなんだろうか。兎に角危なかった。火傷するところだった。
「あ、ちょ、兄貴トマト勝手に食べんな」
横から手が伸びて、兄貴が洗ったばかりのトマトを摘まむ。…後少しなんだからもうちょい待てよ。
「いつ食べたってたどり着く場所は同じだから良いだろ。あ、今日林檎でよろしく」
「…ったく…、切るから持ってきて」
「はいよマイハニー」
「その呼び方止めろって」
火を消して目玉焼きと洗ったレタスとトマトを盛り付ける。それを食卓に運んでもらい、パンが焼けるまでの間に林檎を食べやすい大きさに切って皿にのせて、それも食卓へ。そして焼き上がったパンと市販のペットボトルのコーヒーを注いだコップを持って椅子に座った。
「いただきまーす」
「…いただきます」
これが俺達のいつもの朝。
慌ただしくて、けれど温かい家族団らんの時間だ。
「うまー、お前の目玉焼き焼き加減最高」
「…そりゃあ何回も作ってたら兄貴が好きなのも分かるよ」
「あんもう大好きハニー」
「そろそろ殴んぞ」
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