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「そう言えば昴流、彗の友人と付き合ってるみたいですね」
「…っげほ…、」
焼けた肉を食べていると父さんが突然にその話題を持ってきたのでむせた。
付き合ってる人を知ってるところまでは良いけど兄さんの同級生とまで知られてるとは。…と、なると相手が男だってことも知ってる、よな
「…気持ち、悪いですか」
震える声で、俺は父さんにそう聞いた。
相手が男で、しかも年上で、担任。
俺の周りは受け入れてくれている人ばかりだけど拒絶するのが普通の反応で、父さんがそうしないとは限らない。
「何故?お前が好きになった相手なんだから私は何も言いませんよ」
「…ほんと…?」
「ええ、お前が幸せならそれで良いです」
父に涼との関係を認めてもらえた。
周りの偏見がなくても、親に認められるかどうかで気持ちのあり方ってのは変わるもんで、心が軽くなったような気がした。
「…嗚呼、そうだ昴流。涼君と言えば彼、そろそろ誕生日ですよ」
動かしていた箸を止め、1度水を飲んでから父さんがふと、思い出したようにそう言った。
「へえ、親父椿先生の誕生日知ってんだ」
「何度か彗の愚痴を聞いたので」
「あいつが毎年愚痴るから俺も愚痴りたくなるだろ」
「因みに日にちは?」
「2月14日」
「うっわ、モテ男は違うね」
「ヒュー」と口笛を鳴らす兄貴。そんなに珍しい日だったのだろうか。なんかこの日に意味なんてあったっけ。
「チョコの日ですよ」
チョコ…ああ、バレンタインか。忘れてた。へえ、あいつバレンタインが誕生日なのか。
俺の誕生日は7月20日。至って普通。
「…でもなんで涼が愚痴る訳?誕生日なんだよね?」
「…バレンタインだぞ?」
「バレンタインだからですね」
「バレンタインだからだろ」
「えっ」
3人揃って同じ答え。…えーっと俺には答えが見えないんだけど。
「あいつ、毎年大量にもらってるぞ。誕生日とバレンタインの両方の分、な。学校でも生徒から貰ってた筈だぞ、去年も愚痴ってきたから。まあ、生徒のは誕生日分は含まれてないと思うが」
「彗も貰ってましたよね」
「あいつよりは少ない」
…ああ、そっか。涼モテるんだっけ。
てことはその日は涼の周りは人で一杯なのか。
涼はそれを愚痴るくらいだから面倒に思ってる筈だからこんなこと思っちゃいけないけど、そう思うと嫌だなって思ってしまった。
「昴流しょぼんってしないで。しょぼんってする昴流も可愛いよ」
「おい矛盾してるぞ。…ったく、昴流」
「う…?」
兄貴と兄さんの両方から頭を撫でられた。俺そんなに顔に出てたかな。
「シュークリーム、…あいつの好物。これ知ってる奴は殆ど居ねえよ」
シュークリーム?…あ、なんかちょっと可愛い…。シュークリーム頬張ってる涼可愛い…。元気出たかも。俺って分かりやすい。
「俺が言いたい意味分かってねえな。…つまり、だ。それ作って涼に渡してやれよ」
「え、や…作ったことねえし…」
「あいつが大量にもらうのは仕方ねえ。…ならその中で1番になってみろよ」
「いちばん…」
「そ、お前料理上手いんだろ?練習すりゃあできるようになるよ」
「んん…」
1番になる、かあ…。その発想はなかった。買った方が美味しいと思うけど涼が喜んでくれるなら頑張って作ってみようかな。
…まさか兄さんに恋愛相談?手助け?してもらう日が来るなんて思わなかった。しかも涼の誕生日ってだけで。
それが嬉しくて胸がポカポカした。父さんともちゃんと話せれたし俺、今日ここに来て良かったな。
「ありがと」
「ん、頑張れ」
「…過保護ですね。これがブラコンってやつですか」
「親父、それ親父にだけは言われたくない台詞」
「否定はしません」
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