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「いらっしゃいませー」
夜の10時ちょっと前にあまり行きもしないコンビニに足を運ぶ。
愁が夜バイトをしているコンビニ。
愁とシフトがよく被るなら、会えるかもしれないと思って、愁がギリギリ来ない時間を選んだ。
店員はレジにいる人1人。
真面目そうな人。多分大学生。ゴリラでもないし暴君な雰囲気は全く無い。
…今日は居ないのかな。
「魔咲ィてめぇ10分前に来ねえと思ったら遅刻の連絡かよふざけんじゃねぇぞ。信号に引っ掛かりまくってるとか知ったことかよさっさと来い」
何も買わないのも悪いと思い、後ろの冷蔵庫から飲み物を選んでいると、距離があって聞こえにくかったけど、レジの人が不機嫌そうにそう言っているのが聞こえた。電話の相手は魔咲ってことは愁。
第一印象とは違う喋り方。元ヤンなんじゃねえのかって感じの人だと愁が言ってたから、この人なのかもしれない。ゴリラではないけど。
電話を切ったのを確認して飲み物片手にレジへ行き、その人に渡す。
「ゼロちゃん」
「あ゛?」
彼がレジ打ちをしているときに、愁が作ったそのあだ名を口にすると、反応してくれた。
てことはこの人が、『ゼロちゃん』で間違いない。
愁が心を許した数少ない人で、愁を助けてくれた人。
「初めまして。魔咲から貴方の事を聞いたことがありまして、1度お話ししてみたかったんです」
「……あー、魔咲の友人か何かですか?」
「…まあ、そんな感じですね」
「で、俺はその友人さんにナンパされてると言う事ですね。…良いですよ」
「…え、良いんですか?」
驚いた。警戒されると思ってたのにそんなあっさりと。
「あいつの名前を利用して何かしようなんてする人居ないでしょう?だから良いですよ。何時ですか?バイト月水木は入れてないんでその日なら大丈夫ですよ」
「あ、えっと…なら…何時でも宜しいのでここで話しませんか?」
その曜日なら全部俺がバイトだから優さんの店の地図があるカードを渡す。ここでなら何時でも話せる。
「じゃあ、来週の月曜で時間は夜の7時くらいで」
「分かりました」
「でも、ひとつ聞いて良いですか、何で俺と話したいの?」
「……罪滅ぼしをしたいから」
愁は気にしてないと言ってくれたけど、俺は自分を許すことができなかった。
だから俺は使えるものを全部使って愁を助けてみせる。それが出来ないと俺は愁の隣に居ることなんて出来ない。
分かってる俺のエゴに皆を巻き込んでるって。けど俺1人じゃあ何も出来ないから。
「はあ……?」
意味がわからないと言いたげな表情をする『ゼロちゃん』さんに「すいません」と謝罪。これから貴方の事を利用させてもらいます。
「……それでは来週の月曜に。…嗚呼、魔咲には俺がここに来たこと言わないでおいてくれませんか?」
「はあ…分かりました?」
「ありがとうございます、では」
2つの意味で軽く会釈をすると、レジ袋を持って外に出た。
ー愁、待っててねー
次こそ必ず俺がお前のこと守ってみせるよ。
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