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「ゼロちゃーん、良いって俺大丈夫だから!」
「またやられても困る。前までは送らせろ」
零とシフトが被るときは、いつも家まで送ってもらってる。わざわざ終わる時間を一緒にしてまで。
昴流が言ったからとはいえ、ここまでする必要あんのかな。
…医療品を態々家に帰って持ってきてくれた位だし、零の中ではこれが"普通"なのかもしれない。
「今日は居んの?」
「んー、多分いない」
俺のアパートの前まで来て、遠くから玄関前を見る。
塀で隠れてるところがあって見えにくいけど、玄関前に立っている人影はない。
「そ、じゃあ気を付けて。何かあったら電話しろよ」
「大丈夫大丈夫ーありがとねん」
「あー、はいはいキモイ」
駐輪場にバイクを片付けた後、昴流にしてるみたいに頬にキス。零の反応を楽しみに、してみたのに無表情で顔を押し返されたされた。酷い。挨拶のキスじゃん。そこまで嫌がらないでよ。泣く。
「ここは日本だろーが」
もっともなんだけどね。言いたいことは分かるんだけどね。別に良いじゃん日本でもして。
「勘違いされるぞ」
「へーき。俺元々女苦手だから」
セフレで女とも関係を持ったことはあったけど、やっぱり香水とか、化粧とか、色んなのが混ざった女独特の臭いが駄目で、圧倒的に男のセフレが多かった。
俺自身自分がゲイ寄のバイだと思っているし、別にそう思われてもなんの支障もない。
「ゼロちゃんはー、彼女いるの?」
「居ない」
「だろうな」
「あ゛?」
こんなに口が悪くて、元ヤ…現役の雰囲気を出してたらそりゃあ女寄ってこないわ。
いや、もしかしたら大学では猫被ってるかも?…大学ではどんな感じなんだろうか。黙っとけば真面目に見えるから真面目で通ってるんだろうか。それともやっぱり現役?
「でも"コイビト"は募集中」
「へー、俺が立候補したら付き合ってくれんの?」
「考えといてやるよ」
…んん?予想外の回答。「ふざけんな」とか言うの思ったのに。
俺の冗談に乗ってくれた…のかな?じゃなかったら男とか女とかそう言うのに偏見が無いのかも。
零ならどっちもあり得そう。
「ゼロちゃん読めないときがある」
「それは良かったな。年上の余裕って奴だ」
「ムカつくわー」
俺とそこまで歳変わらない癖に。
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