アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
俺がクスクスと笑っていると、「何がそんなにおかしいんだよ」と睨まれた。
「ははっ、ごめんごめん。ゼロちゃんらしくてさ」
「悪かったなそりゃあ。けど面倒じゃねえってかなり重要だろ?」
まあ、そりゃあね。俺だって自分の時間を相手といる時間に使わなかっただけで色々と言われんのは嫌だ。俺の場合はバイとの方が大切だし。
「だろ?しかも同じ大学のやつ。大学で会ってんだから少しは我慢しろっつーの」
「それ俺も無理かも」
全く会えてないんなら中々会えないことに怒られてもギリギリ許せるラインけど、毎日会えるのにそれ以上…"デート"を要求されるのはキツいな。
何と言うか、お互いに時間ができたときで良いじゃん?って感じ。
「そ、別に恋人が要らないって訳じゃなくて俺の事も考えて欲しいって奴?…あー、お前みたいに理解ある奴が欲しい」
…何て零が言うもんだから俺も冗談で「付き合う?」って笑って返した。
流石に前は乗ってくれたけど、今回は断るだろうと思って。
「良いかもな」
…思ってたんだけど、また乗ってきた。
いや、乗ってんのかな?…もしかして本心?
「ゼロちゃんって、両方イケんの?」
「は?両方?いや、無理だけど。勃たねえし」
手を軽く振って、眉間に皺を寄せながらそういう。嘘ではなさそう。
じゃあ本当にノリで言っただけか。
「…で?付き合ってくれんの?」
「え?…ちょ、え…?」
する、と急に腰に手を回され、尻を撫でられる。え、ちょ、悪ノリ過ぎない?
「零…?」
「なあ、どうなんだよ?悪魔チャン」
鎖骨から顎の下までなぞられて、耳元で囁かれる。零が読めない。どこまで続くんだ、この悪ノリ。
「うっわーまた始まったよ零ちゃんの悪い癖。昔と変わらず手だけは出すの早いんだから」
「愁が困ってる、その手を離せ」
零の悪ノリに戸惑っていると救い船。幸仁さんと史さんのお陰で零が俺から離れていく。軽く舌打ちしてたけどそこは聞かなかったことにする。
「お前すぐ手出すから中々会えないのは浮気してるからって勘違いされるんだろ?直せよ、それ」
「出す相手くらい選んでるに決まってんだろ。恋人には一途だし?」
「そう言うことじゃないだろ…。…零が悪かったな愁」
「零ちゃんに『付き合ってみる?』とか言ったらその気になるなら気を付けてねー」
「え、あ、はい…?」
零の代わりに幸仁さんが頭を下げてき、史さんが俺に注意する。それにまた零が舌打ちをして、目に少しだけかかってる前髪を耳にかける。
ふと、その耳の方を見てみると、片耳だけピアスがされており、そのしている方の耳はーー…
「…ゼロちゃんってゲイだったの?」
「あ?先からずっとそう言ってんだろ」
いや、そんなこと一言も…。あ、でも付き合ってたのが女、とか俺はノンケだ、とも言ってなかったな。分かりにくいわ。ハッキリと言えよ性別を。
「出す相手くらい選んでる」。つまり今までのは悪ノリなんかではなくて、…俺を口説いてた、のか…?
「つか、狙ってねえと態々家に色々と持ってきたりしねえよ。俺だってそこまでのお人好しじゃない」
…俺はそのそこまでのお人好しなんだと思ってたわ。え、ていうか俺狙われてたの?全然気づかなかった…。だって零そういう目でみてきたことねえもん。
「恋愛の価値観が合いそうだな、程度にな。俺付き合ってから好きになっていくパターンが多いんだよ」
「へ、へー…なるほど?」
「それに、興味ねえのにワンコの作戦に乗ってやると思う?」
…確かに言われてみればそうだな。昴流と零面識があった訳じゃないんだし…。警戒して断るのが普通だ。
「それで?イエス?ノー?」
また俺の腰に手を回し、零の方へ引き寄せられ、返事を聞かれる。
別に男に口説かれて気持ち悪いとかはない。俺男専寄だし。
どちらかと言えば零の事は好きな方。だからお試し感覚で頷いても良い。
…けど、そうじゃねえだろ問題は。
「お前絶対タチだろ」
「嗚呼、バリタチだ」
「俺もタチなんだよ…!」
同じタチの奴と付き合いたいとは思わない。なんでタチになるかネコになるのかで争わないといけないんだよって話じゃん。そんなことで一々争いたくない。
「残念。ネコになる気があったらそんときは教えてくれ」
「ねえよそんな日」
俺に春がやってくるのはまだまだ先の事らしい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
266 / 1113