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「なあ、狼城。去年も思ったんだけど暑くねえの?」
「あ?」
月は6月。梅雨の時期。
毎年の事だが、モコモコになっている俺に吉柳がそんなことを聞いてきた。
見てるだけでも暑い、って感じの顔してる。
そんなに言うほど暑いかな。
「俺は暑くねえけど…」
「嘘だー」
「嘘じゃねえよ」
でも、去年よりは寒くない。何枚着ても去年までは寒かったけど今年はこれで丁度良い。
それに、着ている服の枚数も少なくなった。えっと…4枚から3枚?
「進歩だねルウちゃん」
「ん」
子供を褒めるみたいに俺の頭を撫でてくる。俺の着る服の枚数が少なくなるのはそこまでのことなのか。
「このまま夏服デビューも頑張れ。…ていうか夏服買ってる?」
夏服…買ってないな。夏でも半袖じゃ寒いくらいだったから買う必要なかったし…。
まあ、今年も買わなくて大丈夫かな、多分。我慢できなくなったら買う。
「狼城の夏服とか想像できねー」
「分かる。俺も見たことないもん」
「逆に着たことあんの?」
失礼だな。着たことくらいあるわ。
「まあでも、体操服は買っといた方が良いかもね。倒れても知らないよ?」
「部活でも着るしなー」
「…分かった」
けどまだ良いや。7月くらいになって暑かったら買う。
「体育祭の時に倒れそー…」
「あ、でも今年からブロックごとにシャツ買うんだって。全員強制的に半袖」
「ルウちゃんの夏服デビューだね!」
「ええ…」
夏服デビューってそんなワクワクな感じで言うもんだっけ…。
「…つか、体育祭か…」
そういや、そうだったな。去年は9月にしたから忘れてた。何か、熱中症対策とかなんとかで、球技大会の日を早めて7月に体育祭がぶっこまれた。Tシャツは、ハチマキだけじゃ分かりにくいからって生徒の要望があったらしい。
部活なり、日程なり一気に変えたのは1年ずつ変えるよりは分かりやすい、とかまあそんな理由だと思う。
「俺ら去年補欠だったんだよねー。今年は何か出ようかな」
「多分陸上部入ったからリレー強制的にさせられる」
「うわ、まじかよ」
初めて陸上部に入ったの後悔した。
強制的にとか辛すぎ。
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