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「狼城先輩、ちょっと良いですか…?」
「ん……?」
開会式が終わった後は棒引きまでやることがないので生徒用のスペースで愁と吉柳とで時間を潰していると、呼び方的に1年?2人に声をかけられた。手にはマジックを持ってる。
「サイン書いてくれませんか?…あ、無理なら良いんですけど…」
「さいん…?」
何で、と思ったが彼女のシャツにマジックで色んなところに何かが書かれていたのが見え、納得。シャツは派手すぎじゃないならデコレーションしてもOKらしいから記念でサインを集めてるって所だろう。
「やっぱり無理ですよね…!ごめんなさい!」
「え、あ、いや……」
サインなんてしたことねえよ、どう書けば良いんだよと思っていると怒ってると勘違いされたのか震える声で謝られた。それを隣で見ていた愁と吉柳が「怖がらせたー」と笑ってきた。五月蝿い悪かったな。
「サインってどうすれば良いの」
「普通に名前を…書いてくれるんですか?」
「名前くらいなら」
「わわ…ありがとうございます…!」
マジックを受け取って、背中の空いてるスペースに周りのを見て似たような感じで自分の名前を書く。
「え、字可愛い」
「嘘?!どんな字?」
「フォントでありそうな丸文字」
「見たい!正面に書いてもらえば良かった!」
俺の字でここまでの盛り上がり様。凄いな。丸文字って珍しいのかな。
「ん」
「ありがとうございます!あ、魔咲先輩と吉柳先輩も書いてくれませんか?」
俺がマジックを返すとペコペコと頭を下げてきて、今度は愁と吉柳にも同じことを頼んだ。
「…狼城と違って俺の字に面白味はねえけどな」
「俺結構達筆」
「それはどういう意味で?綺麗?汚い?」
「……綺麗?」
「…狼城マジで?」
「書道の手本並だ」
愁学校で筆記用具出すのテストの時くらいだから知らなくても仕方ないけど、マジで愁は字が綺麗。そういうコンクールに出せば余裕で金賞狙えるレベルで綺麗。何でこいつ字全く書かねえのに綺麗に書けるんだろって見てて何時も思う。
「……って期待させといてまさかのアルファベット」
「だって『愁』って画数多くない?ローマ字にしたら『SYU』で終わりだよ?平仮名より楽だよ?」
愁が書いたのは漢字でもなく平仮名でもなくアルファベット、しかも筆記体。
でも筆記体でも綺麗だから何も言えない。
「お前らの後に書くのが凄く申し訳ないんだけど……!!」
「あ、普通だ」
「普通だな」
「悪かったな普通で!!」
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