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昼休憩が終わって、4つほど競技をした後俺が出るリレーの番になって入退場門に並ぶ。
すると、桐華さんが来てくれて「頑張ってね」と声をかけてくれた。…飴と鞭の使い分けが上手。
「とーかさん1位取ったらもっと俺に鞭だけじゃなくて飴頂戴」
「それは貴方が真面目にしないから悪いの」
「…む」
「…まあ、考えといてあげるわ。頑張って」
「絶対考えねえ奴だ」
「あ、手抜いたら覚えてるわよね?」
入場直前に聞かれたその脅しにも聞こえるそれ。練習メニューが地獄になる奴でしょ、嫌だから真面目にする。
ー…とは、言ったものの…ー
12走者中8走者目の現在。1位と200メートルの差で赤最下位。真面目にしてもこれ追い越せるかな。俺以外アンカー3年だし…。陸上部の人ではないけど、スポーツ系の部活なはず。…1位は諦めよう。いや、でも力抜いたって桐華さんに怒られそうだし…。"ご褒美"欲しいし…死ぬ気で頑張ろう。やっぱ。
「ルウちゃーん頑張ってー」
俺の前に並んでた奴が出て、俺も前に出てリレーゾーンへ。
近くで見ていた愁が応援してくれたので手を振り返した。…いや、待て。お前俺と違うブロックだろ、良いの応援しちゃって。
「ルウちゃん以外そのリレーで知ってる人出ねえもん、だからルウちゃんだけ応援する」
…応援してくれんのは嬉しいけどお前のブロック応援してあげようよ。
「あっ、ルウちゃん来たよー」
それを聞き、後ろを振り返った。
後5m位の距離。相手が近づくにつれ俺の足も動き始め、バトンを受けとると全速力で走った。
最初は黄色、そして青、オレンジ、白、緑、黒を抜かし、半分…1周走った所で3位になる。
言い忘れてたけどブロックは全部で9つ。
で、2周目の半分走った時には2位になれて、1位…紫との距離もかなり縮まった。
ラスト100m。足が痛いけど無我夢中で走った。頭ん中は地獄とご褒美だけで一杯だった。
そればっかを考えてたせいで、自分がゴールテープを切ったことなんて気づかなかった。
ーパンッー
乾いた音が鳴り響き、我に帰る。
そして脱力感でグラウンドに倒れた。マジになり過ぎて足動かねえ。
「狼城君、大丈夫ですか?立てますか?」
「…出来んならこうしてねえよ」
「ですよね」
涼に横抱きにされ医務室へ。足が疲れてるだけだから足を伸ばしたりしていればすぐに走れるようになると思う。
「あ、ねえ順位どうだった?」
「1位。昴流の走る姿可愛くてずっとビデオで撮ってた」
「…ん、そう…」
1位…。まずは1歩。騎馬戦でも1位になって、それでご褒美。涼の家に泊まりにいける。
「昴流?どうした?」
「ふふ、なんでもねえよ」
後は騎馬戦。頑張らないとな。
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