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最後の休日は涼とデート。
…とはいっても街中をただブラブラと歩いて、たまに店内に入ったりしてるだけで、いつもの休日と同じ過ごし方。
「あ、昴流。これお前に似てね?」
指さしたのは雑貨店のショーケースに飾られた大きめの可愛らしい狼の人形。狼と言うより犬…な気もするが多分狼だ。
「…中入ってみる?」
「んー、そうだな。ちょっとだけ」
店内に入って、他の商品も見ながら人形を探す。奥の方にあったそれを見つけると涼はそれを手に取った。
「ふわふわ…。手触りもいいな」
「買うの?」
「悩み中」
ぽふぽふと人形で遊ぶ涼が可愛らしい。
人形が好きなのかと思ったがそう言うわけでもなく、気に入ったのは俺に似てるからという理由だけなようだ。
「…これ、涼ぽい」
「えー、俺熊?」
「そんな感じがする」
同じ種類の熊の人形に目が行き、それを指さす。
涼ぽいと思ったのは直感。
涼は熊っぽいで連想するごつさはなく、細身な方なのに何でだろう。
自分でも良くわからないけど兎に角涼ぽかった。
「…買いたくなってきたな」
俺も人形が好きと言うわけではないけど、涼ぽいと思ったら愛着がわいてきた。
買おうか悩んでいると横から伸びてきた手が熊の人形を掴み、人形2つを抱えてレジの方へ向かっていく。
「え、買うの…?」
狼のは涼の好きにしたら良いけど熊の人形まで買わなくても…。
「お揃いってことで」
…嗚呼、もう、そんなこと言われたら止めることなんて出来ない。
「1万800円になります」
支払いの時に店員に突きつけられた金額に目が点になる。
…1つ5400円。値段見てなかった。
人形ってこんくらいする…物なのか?
「1回で」
「かしこまりました」
驚きを隠せないでいる俺のとなりで支払いが済まされていき、大きな袋1つを渡されたところで我に返った。
「悪い、お金返す」
「良いよこんくらい」
…こんくらいって金額じゃないだろ。
「彼女なんだから彼氏に甘えなさい」
「かっかの、じょ…」
せめてそこは彼氏にしてほしかった。
「…まあでも…ありがと」
「ん」
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