アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
32
-
「ふは…っリスみたいで可愛い」
「…ん?」
昼時になってファーストフード店に立ち寄り、そこで注文したハンバーガーをもっもっと頬張っていると正面に座っていた涼がそれを見てクスクスと笑った。
…リス…。俺に例えられる動物がどんどん小さいものになっていってるような…。
「…つか、見てないでお前も食べろよ」
「えー、昴流観察するの楽しいんだもん」
じゃあその観察を止めなさい。
「あれ、お前涼〜?」
やっと俺を見るのをやめ、食べ始めたと思えば、次はどこからか涼を呼ぶ声が聞こえてき、それに涼が嫌そうな顔をして振り返った。
「やっぱり涼じゃん。会うの久しぶりじゃん〜」
「…おい、隣に座ってくんな」
「良いじゃん良いじゃん」
その人はちょっとチャラそうな人で、涼だと分かるなりトレイを持って空いていた俺らの隣の席に座ってくる。涼の友達?随分とぐいぐい来る人だなぁ……。
「あれ、この子……。誰?新しい子?お前ピアスつけてるやつ苦手じゃなかったっけ?」
「…うるせぇな、俺の勝手だろ」
その人が俺を話題にすると、一段と嫌そうな顔をして。
それに気づいてるのか気づいていないのかは知らないが、それでもチャラ男さんの口は止まらない。
「ピアス多いし、どう見ても年下だし…。お前のタイプから結構外れてね?あ、でもお前プライド高いってか不良っぽい子好きだったっけ?」
「…おい、いい加減黙れ」
「もしかして夜の相性良かった?お前のヤり方ひでえもんなぁ……。まぁ気に入ってなけりゃこんなとこで2人で食べたりしてねえか。で、こいつ何人目なの?」
「…」
「あら、無視?」
チャラ男さんについていけないけど、涼の態度からしてあまり宜しくない…涼にとって触れられたくない話題だってのは伝わってきた。
「それとも…デキてんの?今後こそ本気なん?……や、それはねえか。お前ヤリチンの浮気性だもんな。それと鬼畜〜?お前のせいで泣いた奴は数知れず……。付き合っても持って3日」
涼がヤリチンで浮気性で鬼畜で…何人も泣かせてきて…付き合っても長続きしない??
俺が知る涼とは真逆だ、そりゃあ絶倫でドSなとこもあるけど優しくて、浮気なんてしたことないし、付き合ってもう1年近くになる。
信じれないけどこの人が嘘を言っているようにも思えない。……なら、この人が言ってることは東京に行ったとき、涼が隠そうとしていた過去の事。俺に知られたくなかった事。
この人も悪気があって俺の前で話している訳ではないんだと思う。素直に俺と涼がデートしてるのに驚いてるだけなんだろう。それが分かっていても、この人が言うことにイライラした。これ以上聞きたくない。
涼の事をこれ以上聞いたら嫌いになりそうだからでは無い。そうじゃなくて、俺は"涼以外の人"からそれを聞かされるのが嫌だった。
「涼」
「…っ、何すばー…っん」
涼を呼ぶとビクッと肩を震わせる。嫌いになった、そう思われたのだろうか。
そんなこと有るわけがないのにと思いながら俺は涼の胸ぐらを掴んで俺の方に引き寄せて噛みつくようにキスをした。
「……俺らこういう関係だから。勝手にセフレって決めつけんな」
ー後、アンタの口から涼の事を聞きたくないー
見せつけるようにしたそれに驚き、固まっているその人。…あと涼も。
その人を軽く睨んで涼の腕を掴んで立ち上がった。
「このトレイアンタが片付けといて」
「…ちょ…っ?えぇ〜??」
「行こ、涼」
「え、あ…っ」
俺らのトレイをその人に押し付けて涼の腕を引っ張って店内を出、そのまま涼の家に直行した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
294 / 1113