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「涼」
涼の家に戻り、名前を呼ぶとまたビクリ、と肩が震えた。
「あの人が言ってたの、本当?」
別に責めてる訳じゃない。涼の口からちゃんと聞きたかっただけ。けど涼には責めてるように聞こえたのか小さい声で「嗚呼」と肯定の言葉を口にした。
「そう」
少しだけ、満足。でもやっぱり肯定されただけじゃあイライラが消えないな。もっと知りたい。涼の口から詳しく聞きたい。
「…涼教えて。涼の事」
ビクビクとしている涼の頬を撫でて触れるだけのキスをする。
「俺、涼の事嫌いになったりしない」
「いや…結構やることやってるから…聞かねえ方が良いかも。多分お前引く」
何でそう決めつけるの。俺涼の事ならどんなことでも知れたら嬉しいって言ったじゃん。
「俺、言わない方が涼の事嫌いになる」
嘘、嫌いになんてならない。
いつか話してくれたら良いって言ったのに、俺の我儘で酷いこと言ってごめん。でも涼がつらそうだからきっと聞かなかったことにするより聞いたほうがいいと思ったんだ。
こういえば言ってくれると思ってた。
けど、実際は恐れ、中々言おうとしてくれない。
涼にとって、言わなくて嫌われるよりも言って嫌われる方が嫌みたい。それなのに無理矢理言わせようとしている俺。ズキンと胸が痛んだ。
「…ごめん、今日は帰るわ」
頭を冷やしたかった。
このままここに居ても俺はきっと涼に酷いことを言って聞こうとしそうだった。涼に酷いことを言うなんてこれ以上俺には出来そうになかった。
だから立ち上がって、荷物を纏めようとした。
…けど、その動きを止めたのは涼の震える腕。
「…行くな。ちゃんと言うから」
「良い、無理しなくても」
「してねぇよ。…よくよく考えてみればあんだけ聞かれたんだから隠したって今更だよな」
声が震えてる。強がらなくても良いのに。…だけど、そうさせてるのは俺だ。罪悪感でまた胸が痛んだ。
「言うからちょっと待って。…少し落ち着きたい」
「…嗚呼」
そういって立ち上がると、書斎の方に行ってしまった。
涼がリビングに戻ってきたのはそれから1時間経ってからだった。
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