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「すーばーるー?」
「ひぁん…っ?!」
飽きることなく人形で遊んでいると、脇腹を突かれた。涼を見るとちょっと不機嫌そう…。何で?
「キーホルダーばっか見てんじゃねえよ」
「ふえ…?」
「それと俺を重ねてニヤけてくれてんのは今すぐ抱きたいくらいにくっそ可愛いんだけど、嫉妬しそう」
「え…嫉妬?」
…これに嫉妬?
涼が、涼に嫉妬してるみたいで可愛くて、面白くて、俺はクスクスと笑った。
「ふふ、ごめんな」
携帯を鞄の中にしまって、涼の腕に抱きつく。
すると不機嫌オーラはたちまち無くなって「ずっとそうしてて」と言って俺の頭に唇を落とし、わしゃわしゃと撫でた。
「俺かき氷買ってくるけど昴流いる?」
「んん…、レモン」
「了解」
もう少しで花火がうち上がる時間のため、人はあまり並んでおらずすぐにかき氷を2つ持って涼が戻ってきた。
涼から黄色く色付いたそれを受けとる。涼のは…青だから…あれだ。名前が長いやつ。
「ブルーハワイな」
それだ。
「あぅ…」
シャコシャコと氷を崩しながら食べていると、頭がキーンとしてきて、涙が出そうになる。食べる手を止めてぎゅ、と目を瞑る。
「頭にきた?」
「…ん、痛い…」
「くく、涙目になってる…。かーわい。ゆっくり食べたらなりにくいよ」
「…そうなのか」
それは良いことを聞いた。
頭痛がなくなると食べるペースを少しゆっくりにしてもっもっと氷をストローのスプーンで救って食べる。涼が言った通り、頭に来なくなった。
「くく…、昴流かき氷食ったことねぇの?」
「嗚呼」
つか、アイス系の食べ物をあまり食べたことがない。
年中寒いって感じてたせいで冷たいものを食べようと思ったことなんて0に近いくらいに無かった。
このかき氷食う前にアイス食べたのっていつだったっけ…2、3年?まあそんくらい前だったと思う。
「そっか。…体冷えてきたら言えよ?」
「んー、わかった」
頭を撫でられ、それに擦り寄りながら頷く。
ードン…ッ、パンパンッ…ー
「はー…すげぇな」
破裂音が響き、空を見上げるとアサガオの形の花火。他にも模様になったり、定番の丸い形の奴だったり色々な花が次々に空へ昇っていく。
初めて間近で見る花火に目は釘付けで、かき氷を食べる手を止めてそれを眺めた。
どう表現したら良いか分からないけど、兎に角綺麗だった。
最後の花火がうち上がり、空に消えた。
あっという間に終わってしまって、もっと見ていたかったと思いさえもする。
コップに入ってたかき氷はもうすっかり溶けて水になってしまってしまっていた。
「楽しかった?」
「嗚呼、来年も見たい」
「ふふ、じゃあ来年も来ようね」
「そうだな」
来年も、再来年も、次の年も…。2人でこの花達を見に来よう。
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