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時は遡り2時間前。
「確かにこいつは化物だな」
傷だらけになった昴流を抱えて、涼は男…昴流曰くボス猿の発言に肯定した。
…だが、それで終わりではなかった。
「人間ってさあ、"人間視点"で異質だと思ったものは全部化物扱い。そういう意味でいやあ、昴流は化物だな」
ー天使って名前の、なー
「は?」
涼が言ったそれに反応が遅れたボス猿。
だって、そりゃあそうだろう。
表情を崩さず平然と狂狼の事を天使と言ったのだから。
「昴流はさぁ…、俺を煽んのが凄く上手で、嬉しそうに笑った顔は凄く可愛い。俺に尽くそうとしてくれる健気なところ、それからあまり性的知識は無くて、恥ずかしがり屋さんなところ。…後、誰よりも弱くて壊れやすいところ。それら全てが愛おしい俺の天使」
よくまあ恥じらいなく堂々と言えるな、と思えるくらいのことを連連と語る。
「…昴流は狂ってなんかねぇ。昴流の事を知らねぇくせにそう決めつけてんじゃねぇよ」
人一人殺せるような目で、ボス猿を睨んだ後、「次言ったら殺すぞ」と、昴流に見せる柔らかな雰囲気からは想像のできないほどドスの効いた殺気の籠った声で言い、それにボス猿も息を飲まずにはいられなかった。
昴流はただ生きてる実感が欲しかっただけ。それを感じることができたからどれだけ殴られても笑っていた。…否、だからこそ笑っていた。
ボス猿の言ったことを聞いて、すぐにそう言うことなのだと理解した涼にとって、何も知らない少年に昴流が狂っていると言われるのが腹立たしいことこの上なかったのである。
「…行こっか、昴流」
サイレン音が近づいてきたのが聞こえ、涼は外に止めた自分の車に乗ろうと昴流に声をかけた。
ここから先は警察の仕事で、教師である涼が出来ることと言えば昴流を病院に連れていくことくらいだ。
本当は20人近くいるチンピラ全員を殺してやりたかったが、教師と言う肩書きがある以上感情任せに暴力を振るうわけにもいかない。
「…昴流?」
「…え、あ…?」
昴流がぼーっとしているのに気づき、声をかけるが生返事。
そういえば俺が昴流の事可愛いって言ってもいつもみたいに顔を真っ赤にして口を塞いでこなかったな。と涼は思い、どうしたのだろうと心配になり「大丈夫?」と声をかけた。
それに昴流は「大丈夫」と小さい声で答えた。
怪我のせいで意識がもうろうとしていたのだろうか。そう思い涼はそれ以上触れなかった。
それが結果として昴流を不安にさせ泣かせてしまい、後悔することになるとは知らず。
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