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「ああああ゛……昴流ちゃん寂しい…また当分会えないなんて…」
昼過ぎになって、東京に戻るらしい涼の家族と玄関前で別れる。
…のだけれど、臣が抱きついてきて離そうとしない。
「帰りたくない…」
「学校いかねえとヤバイんじゃなかったのか…?」
「う…でも目の前にいる天使と別れるのも…」
「何言ってんだお前」
相変わらず臣の言っていることは意味不明で、苦笑することしかできない。
「昴流ちゃんと後1時間くらいこうしてたら帰れるかも」
「長い、俺今日バイトあるんだけど」
「バイト?!バイトする昴流ちゃん拝んでから帰るのも…」
「留年」
「うぐぐ…」
うぐぐ、じゃねえよ。そこで言葉詰まらせるってことはかなりヤバイんじゃん。
何だろう、やっぱ兄弟だな。涼と似た何かを感じる。
「…はあ、じゃあ1時間こうしてもう2度と会わないか、潔く帰ってまた会うかの2択な」
「えっなにその選択…兄貴といるせいでSっ気が混ざっちゃった?」
「どうだろうな」
朝の仕返しに少しだけ意地悪してみると、しょんぼりしながらも今すぐ帰る方を選んだ。
こうしたらちゃんとしてくれるのか、今度涼にも使ってみよう。
「またねー昴流君」
「昴流ちゃぁぁん…」
「はいはい」
まだ諦めきれないと表情に書いてある臣を含めた涼の家族にヒラヒラと手を振って別れる。
一生の別れみたいに臣は悲しんでるけど、正月も集まるっていってたからどうせ冬休みにはまたこっちに来るんだろう。
「昴流君も来てね?」
「あ、はい」
「ふふ、臣の倍お年玉用意しとかないとな」
「えっ」
雪路さんが何円にしようかなあ、と俺に渡すお年玉の金額を楽しそうにしながら早くも決め始めた。
招待してくれるのは嬉しいけど…逆に行きづらい。それで行ったらお金目当てで来たみたい…。
「お年玉は良いんで…、えっと時間が合えば涼と一緒に行かせてもらいますね」
「おー、涼連れてこいよ」
「どうせ真らが家に押し掛けてくんから言われなくても連れていく。…ん、何だよ」
「良い子良い子…?」
お、今回は渋らなかった。真さんと臣のしつこさに諦めた、って言った方が正しいのかもしれないが、子供を褒めるみたいによしよしと涼の頭を撫でてみた。
子供扱いされるのは嫌なようで眉間に皺が寄ったのも可愛かったけど、怒られそうだから次からはしないように気を付けます。
「…じゃあ帰るよ昴流」
「うわわ……っ?!あう、待って…、雪路さんばいばい」
「ん、じゃあな」
涼に腕を引っ張られながら雪路さんにも手を振る。
雪路さんが見えなくなると、体の向きを替えて俺を引っ張って前を歩いてる涼の隣に駆け足で向かって手を握り直した。恋人繋ぎに。
「…ふふっ、外では嫌なんじゃなかったの?」
「んー、今はしても良い」
涼が臣に抱き締められてた時ちょっとむすってしてたから今回だけ特別。
「昨日と今日すげぇ楽しかった」
「それは良かったな」
「俺、親戚全然知らないからさ。今は"4人家族"だけど昔は1人だったし…だから多いのって新鮮で」
「…嗚呼」
「また行きたい」
…あ、次は兄貴達も一緒に行きたいな。
迷惑になるかもしれないけどそれもそれで楽しそうだ。
「だから涼、次は逃げんなよ」
「…仕事があるかも」
「正月なんだからねえよ」
…その前に、涼の逃げ癖を直さないといけないかもしれない
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