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「ユウ君は…"愛されたい"の?」
「…さあ、どうだろうな」
分からない。そんなこと考えたこともなかった。
「…悪いな、忘れてくれ」
こんなこと、聞いたって何も変わらないと分かっているのに。
「…っ、おい…?」
グリグリと灰皿に煙草を押し付けて火を消し、俺もシャワーを浴びようとベットから立ち上がったのだけれど、後ろから女の腕が俺の胴に絡んできてそれを邪魔した。
「ユウ君、私と"恋人"になってみる?そうしたら分かるかもしれないよ」
何を言い出すんだこの女は。
同情かと怒鳴りたくなったが手が震えてるのを見て止めた。
こいつは殴られる覚悟で、断られると分かっていながらこんな馬鹿なことを言ってるんだと分かったから。
こいつは、きっと俺が心の奥で願っていることに気づいたんだろう。
"戻りたい"って願いに。
俺がそう"言わせた"。
だから俺はその震える手を撫でて、なるべく優しく断った。
「ごめんね、俺は付き合っても君を愛せない。気持ちは嬉しい、ありがとう」
「…っ、うん」
「…きっと優しい人なんだろうな君は」
俺が人に戻るために"利用"されると理解してて、尚付き合うかと言ってきた位だ。
もし、俺が落ちていなければその優しさに魅了され、付き合っていたかもしれない。
「名前、もう1回教えてくんない?」
そんな優しさを俺に向けてくれた事への感謝を込めて、情事の時しか呼ぶことはない相手の名前を口にした。
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