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「だから水瀬さん、推測していくのも大事なの。読めなくてもそうすれば雰囲気は掴めるから。雰囲気だけでも掴んで。この問題は環境問題のことで、このパラグラフィは二酸化炭素のことを話してるからそういうことなんだろうな、とか。最後の結論も基本ありきたりだから」
「…はい」
「後、接続詞ってやつに目を置く。butとかの逆説とか。絶対じゃないけど逆説を持ってきたらそっちに言いたいことを書いてる時が多いから」
センター試験はこの調子じゃあ全部訳すことは難しそうで、英文を訳すことには集中させず推測する力をつけることに重点を置くことにした。
11月くらいに頼まれていたらゆっくり俺も教えられていたんだけど、時間が全くないから致し方ない所もある。
「本番まで1日3題は解いて。全部で1時間半位で。訳せなくても絶対全文に目を通すこと。そうしたら問題で聞かれた時そんな事書いてるのここらへんにあったなあ程度に思い出すから、ちゃんと訳そうとするとしてもするのはそこね」
「はい…」
「ん。じゃあこのパラグラフィで1番言いたいことはどれ」
「えっ、これ…?」
指をさされたのは全く無関係な文章。ううん…それは始まりが『For example』だから具体例なんだけど…。具体例を持ってきて結論を言ったり、結論を言ってから具体例を持ってきたり。英文でもそれは同じだからしっかり読むべきなのは前後の文…なんだけどなぁ…。
「今回のは問題にもなってるから気を付けて。接続詞だけじゃなくて熟語も大事。これは例を言ってるのか、大事なことを言おうとしているのか。ちゃんと見極めて。熟語と接続詞に印付けながら目を通していくのも良いかもね」
「…大体それで何とかなるか?」
「まあ、たかだか高校レベルだし行けるんじゃないの」
「わんころ、替え玉してくれ」
「そうしたら落ちるの水瀬さんじゃん」
「うっ、はい…」
と言うか、俺と水瀬さん全然似てないから俺水瀬さんで通らないんじゃないの?
変装?俺変装すんの?変装しても無理そうだな。身長がそもそも違う。水瀬さんも琉生よりも背が高い訳じゃないけどそこそこ高い。うん、どう足掻いても無理だな替え玉。
「…もう、水瀬さん!」
「ひぃっ?!は、はい…!何でございまするか」
「何その日本語」
変な日本語は置いといて、また答え間違ってるこの人。しかも間違うとこ、いつも似たような問題。
「だからこの問題の類いはそうやって解いちゃあ駄目なんだって。俺言ったよね。こう言う問題はちゃんと聞いてることだけじゃなくて選択肢も読まないと駄目だって。単語だけ見てあっこれ本文に出てる単語が結構あるなあ、じゃあこれだなーって選んでるんでしょどうせ」
「…申し訳ございません」
「これ言ってること真逆。本文でこの回答にあたる文の次の文が本当の言いたいこと。で、それを言い換えた奴がこの回答。だからこれが正解。分かった?」
「…はい。申し訳ございません」
「だから英語出来ないんだよ」
「うっ…」
言い方がキツくなってる自覚はあるけど、この位言わないときっとこの人こう言う解き方直らない。多分、英語に対して苦手意識がある人の問題の解き方って水瀬さんみたいな感じなんだと思う。それか諦めて手をつけない。水瀬さんを見てそう感じた。
…うん、頑張れ俺。あんまりきつい言い方するのは好きじゃないけど…。
「英文読めたら英語なんて小学生でも分かる簡単な問題ばっかなんだって。だからこそ単語で判断するんじゃなくてその単語の繋がりを見ないと駄目」
「ういっす」
「次同じことしたら大体15分で全文訳して貰うから」
「えっ…短いです…」
「短い?ちゃんと俺が言ったように解いてないからじゃあ全文に15分前後で目を通してかつ全て訳せるようになろっかって言ってるだけじゃん。無理なら俺が言うようにやって」
「っす先生」
先生って…。本当にこの人真面目に聞いてくれるんだろうか。水瀬さんもやる時はやってくれるし…聞いてる…よな?
「じゃあ後1題。この長文2・30分目安で解いて」
「っす」
…この人、センター大丈夫なんだろうか。心配だ。
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