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「せーんぱい」
「うにゅ…?」
1時間目と2時間目の間の10分間休憩。
後ろから両頬を手で挟まれて上を向かされる。
目が合ったのは舞那ちゃん。
「先輩ほっぺぷにぷに」
「あぅ…」
舞那ちゃんが俺の頬を叩いたり、摘まんだりと遊んでくる。ヒリヒリする。痛い。
ぶんぶん頭を振って逃げてみるけどこの子頬への執着が激しく、めげずにふにふにふにふにと俺の頬を触ってくる。
「先輩ほっぺ膨らましてかわい」
「…遊ぶな、馬鹿」
ぷくぅ、と頬を膨らませ、不機嫌アピール。でもそうやって笑うだけで舞那ちゃんの手は止まることを知らない。
「はいはーいルウちゃんで遊ぶのそこまでな、ちー」
「んゅ…」
「あーん…癒しが…」
横から入ってきた愁が俺の頬を両手で覆い隠し、舞那ちゃんの手からガードする。
舞那ちゃんはそれに残念そうにして、俺の頬で遊んでいた手をがっくりと下へ下ろした。
「ちーお前何しにきたの」
「逆に何だと思います?あっ、先輩はいどうぞ」
「う…?」
「お前自分から答え出してんじゃん」
舞那ちゃんに渡されたのは可愛らしくリボンでくくられた小さめの箱。
それが何を意味しているのか分からず、箱と舞那の間を視線が行ったり来たり。
「もーそんな風に見なくても普通のチョコですよ。先輩甘いの苦手って聞いたのであんまり甘くないのにしました」
「あ…」
そうか、俺があげることばっか考えてたけどあげんのは俺だけじゃないよな。
「あ、りがと…俺もあしたあげる」
「えっ、手作り?手作りですか?」
「…ん」
「きゃー!!やった!先輩の手作り!陸上部のマネージャーで良かった…!」
こう言うチョコレートってそれなりの値段がするだろうに、そのお礼であげるそれよりも安い手作りでこんなにも喜ぶとは思わず、吃驚。
そんなに大したもの俺作れないし、買った方が絶対美味しいのにな。
「先輩の手作りであることに意味があるんですよぉ…!!先輩料理上手だし…凄く美味しいし…文化祭準備の時にもらった先輩が作った試作品、あれそこらで売ってるのより美味しかったです」
「大袈裟」
「本当ですってー…」
店で売られてるものの方が絶対美味しい。舞那ちゃんにあげたの初めてで失敗して形崩れちゃった奴だったし。
でも、そう言われて嬉しくない訳じゃない。自分が作ったのをそう言ってくれたり、喜んでくれるのは嬉しい。
「何作るんですか?」
「愁がブラウニーが良いって言ったからブラウニー」
「美味しそう。もう本当先輩女子力高い。私のところに嫁いで欲しい」
「えっ…と、とつ…ぐ…」
これはまた新しい。舞那ちゃんの方が女の子なのに、舞那ちゃんが婿側。逆に俺が男なのに嫁って。本当の性別迷子。
女子力高いってのは、多分褒めてくれたんだろうけど女の子に嫁いで欲しいって言われるのは複雑な気持ち。
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