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昼は行ってない階を見た後ショッピングモールを出て街をぶらぶらと歩いて気になる店があればそっちに行ってみたりとのんびり過ごした。
切らしていたボールペンだったり、酸化してしまった代わりのピアスであったり。気がつけば色んなものが入った袋で手元は一杯だった。
涼は革靴擦れてきたからって新しいの買ってた。俺の記憶が正しかったら涼7・8種類位革靴持ってた気がする。1人暮らしなのに下駄箱の中の靴がやけに多かったからそれが印象的でよく覚えてる。
革だから毎日身に付けるわけにもいかないし、そういうもの…なのかな?もしかしたら涼は普通よりもちょびっとだけ多めに持ってるのかも…?
「昴流といたら一杯買ってしまう」
「え、ごめん…」
涼に買ってもらったタピオカ…?って変わった飲み物?食べ物…?液体と固体が何故か融合してしまってる飲み物?形状の例え方が難しい。味は美味しかった。多分タピオカって言われる所以の固形物はもちもちしてるグミみたいで。味があんまりついてないから飲み物に食感がプラスされた感じ…?
それを通常より太めなストローで飲んでいる時、隣で涼がそんなことを呟き、やはり甘えすぎだったのではないだろうかと心配になる。
そう思って謝ったら涼に「馬鹿」って笑われてしまった。…馬鹿って……。
「楽しいってことだよ」
楽しいから買ってしまう。俺のも、自分自身のも。逆を言えば涼に俺といるのが楽しいって思ってもらえてるってことで、その言葉に顔が緩む。
俺が買った、買ってもらったのは服を除けば小物の方が多いし、そこまでの数じゃない。
でも涼が言うことに当てはめてみたら、俺も涼と一緒にいるのが楽しいから、沢山買ってしまうのかな…なんて。
実際、それもあるかもしれない。
だってつまらないんなら気になる店すら見つけることが出来ない。視線が店の方に行ってないんだから当たり前っちゃあ当たり前だけど。
「ふふ…っ」
「ん…?どうした?可愛く笑っちゃって」
「ありがと…デート、楽しい」
どうしてもお礼を言いたくなった。
俺でも忘れてたことを覚えててくれて、出張帰りで疲れているだろうにこの休みに泊まりがけのデートに誘ってくれたこと。…プチ旅行?
俺はいつも涼にもらってばかり。楽しいこと、嬉しいこと。涼といたらそう言うもので頭が一杯になる。
「あ゛ー…やっぱ天使に限る」
「…?」
「ふふ、昴流が楽しんでくれてるんなら良かったよ」
涼が言った言葉が理解できず、どう言う意味だろうと首を曲げる。が、その答えを知ることはないままに涼の手に頭を包まれた。
涼の笑顔は楽しい時とか、幸せな時にする可愛らしい奴で、涼も笑ってくれてるんだから分からなくても良いか、と言葉の意味を涼に聞く気も失せた。
「あっ、次こっち行こ!」
「お前服見てばっかじゃん」
耳元を通り過ぎた男女の声。真さん位の年に見える彼らは恋人だろうか。俺らと同じで2人で来てて、女の人の方が店を指差してここに行こうと男の人を引っ張ってる。
ただ、違うことがあるとすれば彼女たちは手を繋いでいるってこと。
俺等は人目があるから握るなんてこと出来ない。比べてしまうと胸にもやがかかる。…少し、羨ましいって思ってしまった。
涼に一杯、俺の気持ち。涼とのデート楽しいって伝えたくてもそうやって手を握ったりって体で示すようなことは出来ない。
人が少なければ出来る。でもここは多いから。
「…すーばる。やりたいことは言う」
「っ、わ…?!」
そんな目を2人に向けて目で追いかけていたら掴まれた左手首。手のひらに伝わる涼の体温。
あの人たちもしていたそれだとわかり、体温は首から上を中心に上昇していく。
涼の手から逃げようとするもがっしりと俺の手を握る涼の手が許さない。
「りょお…っ手…!」
「お前は"俺"と来てんだから俺以外の奴を気にしてやりたいこと抑える必要はない」
「で、でも…ひと、が…」
「物珍しさで見てくる奴なんて無視しとけ。どうせ関わることなんてないような奴等だし良いんだよ。…それでも気になるなら…そうだな。俺がしたかったって言ったら許してくれる?」
「あ、う…」
狡い、その言い方は。そう言われたら拒めないのを知ってる癖に。…否、だからこそそう言ってくれた?
俺が、手繋いでんの羨ましいって思ってしまったから?それを察して、嫌な顔ひとつしないで、それどころか堂々として繋いできてくれた。俺じゃあ出来ないことを普通に涼はしてくれる。
それに幸福感を覚え、本日何度目か、また頬が緩んだ。
でもやっぱ恥ずかしいから視線は地面の方へ。
視線が気にならなかったと言えば嘘になるけど、それ以上に幸せな気持ちで胸が一杯になった。
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