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人生2度目の新幹線。…まぁ、それは小学生の頃の修学旅行を入れた回数で覚えてないから初めて乗るようなものか。
「ルウちゃん真ん中で良かった?窓際行く?」
「ここで良い」
スーツケースを上に置いてから3人がけの席に座る。早くも愁はスクールバックからリュックへと変わっただけの菓子袋からチョコを取り出してそれを口の中へ放り込んだ。お菓子タイム早いなお前。
「こんな時間に普段起きないから食べる時間なかったんだよね」
「ならチョコじゃなくておにぎりとか持ってこいよ」
「…チョコ味のおにぎり?」
「無理矢理感」
チョコ味のおにぎりって。フルーツサンドイッチならぬフルーツおにぎりみたいな感じ?うっわぁ…食べたくない。美味しくなさそう。ご飯にチョコ…。それが店頭に並んでるのも見たくない。
「ちゃんとしたの食べないと駄目」
「え、でももう乗っちゃったし買えなくない?」
「む…」
「新幹線内で買えば?」
「あ、それ良いね。駅弁!」
…嗚呼、そっか。バスとか電車じゃないから長距離移動者のためにそう言うサービスもあるのか。新幹線なんて乗ることないからそんなの思い付かなかった。
数分待ったらワゴンがやって来て愁がスタッフを呼び止めて何があるのか聞く。聞いたところ菓子に雑誌に酒におつまみ、弁当。色々とあるみたい。何でも揃ってるんだな。こう言うのって品揃え悪いと思ってたけどそうでもない。便利だな新幹線って。
「アイスとポッキーと後ポテチ。それからびー…あいたぁ?!!」
「お前は何てものを買おうとしてるんだ」
「菓子はまだ一杯あるし酒は駄目」
ご飯を買ってって言ってるのに愁から出るものは全部菓子ばかり。最後のは年齢的にアウトだ。こんな場所で酒は買えないぞ。馬鹿なことを言ってる愁の頭を琉生と一緒に軽く殴る。
「むー…アイスも駄目?アイス食べたい」
「…ちゃんと弁当も買うなら」
「じゃあバニラアイスとその弁当1つ」
そうして渋々欲しい菓子と酒を我慢して愁の手元に届いた弁当。…とアイス。アイスだけは譲れなかったらしい。寒いのによく食べるな。
溶けてしまうからそりゃあ先に食べるのはアイスなんだけど…ちゃんと弁当も後で食べろよ…?食べた後でお腹一杯は無しだ。
「うま、駅弁コンビニ弁当とは違うわ。ルウちゃんもいる?はい、あーん」
「んむ…っ」
冬って季節を感じさせないスピードでアイスを完食した愁は、俺の心配は杞憂だったようでぱっぱと弁当の包装を解いていく。バイトが終わった後は今日集合早かったからすぐ寝ただろうし、朝食べれてないって言ってたからお腹がよっぽど空いていたんだろう。
俺は食べてきたから良いと言うつもりで開けた唇におかずが当たって、それは口の中へ。愁が言うように駅弁はそこらのコンビニ弁当よりも美味しかった。コンビニにも駅弁があったら多分高くてもそっち選ぶなって思ってしまう位に違う。弁当って甘く見たらいけないんだな。
「おいし?卵焼きもいる?」
「や…お前のだろ…。ちゃんと愁が食べないと」
「ルウちゃんをおかずにするから」
「俺は食べれないかな」
俺をおかずって何それ怖い。人肉ってこと?ヘビーなものをおかずにするんだな。愁も愁でたまに涼みたいな変なことを言う。
そんなものよりも俺にくれないでちゃんと食べてよ。俺は食べてきたんだってば。
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