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「思ってたよりも高いな清水」
最初に行ったのが清水寺。説明を聞いたらちょっとの時間だけ敷地内で自由行動。
清水寺と言ったら有名なのはやっぱり本堂の、清水の舞台とも言われてるあそこ。そこから見える、真下に広がる景色が自分が立っているところがどれだけ地面よりも高い位置にいるのかを物語っている。…まぁ、俺の家の階の高さよりも低めだけど高いことに代わりはない。
「ルウちゃーん?ずっと下見てどうしたの?」
「高いところ苦手か…?」
「え、あ…怖い訳じゃなくて…」
その場からじーっと動かずに、真下を見ていると2人から心配する声。俺が怖くて怯んでるように見えたっぽい。怖くはない。これ以上の高さのところに住んでる訳だし、このくらいの高さなら慣れてる。つか怖かったら俺マンションに住めないだろ。
「…涼から俺ってこう見えてんのかなって」
俺のことを小さい小さいって言う涼。たった10cm程しか違わないじゃないかと俺は思っているけど、高い人からしてみたらその身長差でもこんくらい差があるように見えんのかなぁって。例えが大袈裟だけど。感覚的な話だ。もしそうならムカつく。俺も身長もっと欲しい。
「いやいや、ルウちゃんがビッグサイズになっても。ルイちゃん位になっても可愛くない」
「ぬ…」
そんなこと言ったって。俺だって小さいって言われるのどうにかしたい。中学生の時、まだ成長期が来てなかった時に愁に何度それで笑われたことか。小さいは俺の禁止ワードにしようかな。
…嗚呼、そうだ。琉生って背高いんだ。しかも涼よりも高い。バスケ選手って凄い。
「…昴流?キラキラした目で見てきてどうした…?」
「琉生におんぶしてもらったら涼よりも高くなるなって…思って」
「一時的に?」
「む…」
「いてっ、ごめんごめん。怒るなよ」
琉生の言い方にムカっと来て横腹に手刀をいれる。どうせ琉生も俺のこと低いって思ってるんだ。
背の高い人は誰だってそうだ。ちょーっと自分より背が低いからって小さい小さいって。俺平均的な身長だっつーの。俺絶対言うほど小さくねぇもん。
「皆かかとから削れていけば良い」
「何かこの子いきなり怖いこと言い出した…」
「あれよ、身長の恨みは怖いんだよルイちゃん」
「成る程な。…ほら昴流機嫌直せって。170あるんだからそこまで気にするほど低くないだろ?」
「…それって俺のこと低いって思ってる前提じゃん」
俺が指摘したらしまったと言う顔をする琉生。ほらやっぱりそうなんだ。皆して俺のこと心のどこかでは「背低っ」とか思ってるんだ。琉生なんてもう知らない。
「ちょ、昴流あや!言葉のあやだから!俺から見ても低くないから機嫌直してくれ…!」
「…俺愁と回る」
「あは、役得~」
「昴流、マジでごめんって」
愁の腕を引っ張って追いかけてくる琉生に一切振り向かずずんずんと前へ進む。
自由行動でも、自由行動が終わって移動でまたバスに乗った時も、琉生はずっと謝ってきて、でかいはずの体がハムスターみたいに小さい存在に見えて来るほどにしゅーんってなった頃に許してやった。
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