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松永みたいにまた誰か来ても困るから、と言うか見られたら今度こそばれそうだから変態がもう少し俺を抱き締めていたいとか言ってたのを無視して席に戻った。
戻ってくるのが遅くなった理由を聞かれ、あったことを話したら愁に爆笑されて、周りに座っていた奴の視線が一気に俺らの方に向いた時は本当に焦った。
愁の笑いの壺は謎だ。はまれば中々抜け出せず、愁が飽きるまでネタにされる。今回もそれだ。笑いが止まり、思い出し笑いをし。その繰り返しで、それは駅につくまで続いた。
正確に言えば、新幹線から出て一度集まって教師からの話がある時も続き、解散したところで止まった。
夜の駅、仕事から帰宅する人で溢れる駅で一際目立ち周囲の視線の中心となっている2人組の存在を見て。面白いくらいにぱたりと。
「愁チャン菓子買いすぎだろ。マジで甘味中毒だなお前」
もっと詳しく言うとその2人組の1人、桂木さんを見て。表情がするんって抜け落ちてた。
桂木さんの隣にいるもう1人はもう1人は兄貴だ。仕事終わりで着崩されたスーツを着ている兄貴は遠目で見ると夜の町にいそうな人だ。これがホストって間違われる理由なのかなってそれを見て思ってしまった。やっぱり服装なのかなぁ。
「な、なななん…で零…」
「そりゃあ迎えに来たに決まってんだろ。どうせお前大量に買ってるだろうと思ってな。バイク1台じゃ運べねぇだろ。まぁ予想以上の量だった訳だが」
愁の迎えに来たらしい桂木さんは愁荷物の量を見てクツクツと喉を鳴らす。そして、想像以上のそれに「乗せきれんのかなぁこれ…」と不安を口にした。愁バイクで来ただろうしスーツケースは運べると思うが、この荷物は確かにバイク2台でも運ぶの大変かもなぁ。…愁、次からお土産買うときはちゃんと帰るときのこと考えてから、な。
「…別にタクシーで帰るからそんなの要らない」
まぁ、それでも人手が増えたんだ。1人で持つにはきついって言ってたんだから桂木さんが迎えに来てくれたの愁助かっただろうなって思ったら愁の口からは真逆のものが。
琉生が荷物持ったら「ママ」って言ってた位なのに桂木さんだったら何故か駄目らしい。けど桂木さんは必要ないって言われたのに笑ってて、訳がわからず俺は首を傾げた。
「愁チャンそこは素直に『ありがとダーリン』だろ」
「素直も何も要らない」
「俺の女王様はつれないな」
「っ、…てめ…っ?!」
桂木さんは人が多いって言うのにそんなの気にせずに愁の手を取って手の甲に唇を落とす。まるで物語の王子様みたいな振る舞い。
桂木さんも桂木さんであれだな。…涼とちょっと…似てる。人の視線気にしないところとか。人の視線気にしないところとか。2人とも、あれだ。堂々としてるよね。
キスされた愁と言えば、桂木さんの手を振り払って俺と琉生の背中に隠れて「ふざけんじゃねぇぞ糞零」と安全を確保した上で暴言を吐きまくってる。そんなに嫌だったのか。恥ずかしかったとか?人前だもんな。
「わんこ、そこのにゃんこ俺にくれるよな」
「えっと…でも愁嫌、がってるんじゃ…」
「うちの女王様は照れたら爪で引っ掻いてくるんだよ」
「~っ、昴流に変なこと言ってんじゃねぇよ!」
「照れ…?」
俺と琉生の影に隠れてしまった愁を寄越せと、ひとさし指をちょいちょい、と動かし要求してくる。
愁が照れてるだけ。暴言は照れ隠し。
…あ、あー…。これも『つんでれもえ』って奴だったの?あ、今愁ある意味素直な状態なのか。じゃあ桂木さんのこと嫌な訳じゃないのか?
俺の後ろで暴言をずっと吐いてる愁が桂木さんのこと好きって言ってるように聞こえてきてちょっと可愛いかもって思ってしまった。言ったら愁に怒られるから言わないけど。
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