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図太く見えて案外繊細な涼は弄り過ぎたら拗ねちゃうだろうから意地悪するのはここまでにして。
ご飯の時間にはまだ早いから涼の洗濯を手伝うことにした。…あ、その前に怪我手当てしてもらった。大丈夫って言ったんだけどそれは怒られてしまって。そんなにひどい怪我じゃないんだけどな。涼ってば心配性。
「ちょっと涼、スーツ何着洗濯するつもりなの…?」
「んー…ちょっと溜まっちゃって…2セット洗えたんだけど後3つかなぁ…」
「それは溜めすぎって言うんじゃ…」
洗面所に行ったら大量のスーツが転がってた。洗ってて洗面所使えないって言われて想像するのって1着を洗ってる途中だろう。涼の場合そんな優しいものじゃなかった。
まず風呂場に洗い終わったと思われるスーツが2つ干され乾燥機がかけられ、シンクを1着が占領し、まだ手をつけてないであろうやつが棚の引っ掛かるところにハンガーで吊るされてる。ここがスーツの置き場って言っても過言ではない状態だ。
この光景を見てると一体涼ってスーツだけで何着持ってるんだと不思議になる。『ちょっと』溜まったのがこれなんだから全部洗わないといけないとなると……うっわぁ、この洗面所スーツで埋まるんじゃないか?
「いつも洗う時は家に帰ったらすぐしてるんだけどね、今月はそんな暇なくてさ。そんな毎日洗う訳じゃないんだからまだマシなんだけど…もしそうならやばかったかも」
あ、これ数聞かない方が良いやつだ。手伝って正解だな。
「時間ないときは俺が洗うから。溜まる前に言ってよ?」
「…昴流がお嫁さんで辛い」
「えっ、辛い…?大丈夫?」
突然天を仰ぎだした涼にぎょっとする。急にどうしたんだ。俺そんなに変なこと言ったかな…?そんなこと言ってないよな…?だって溜まったら辛いの涼じゃん。今回ので何が救いかってスーツが1日毎に洗うようなものじゃないってことだ。もしそうならきっと涼はそれこそ瀕死状態に陥ってたことだろう。
「ワイシャツは大丈夫なの?」
「それは今洗濯機。…あー、アイロン…」
「そっちも手伝ってあげるから次からは溜めないようにね」
「…頑張る」
乾いた後のことを考え気力を失いかけてる涼。スーツってアイロンかけないといけないもんな。今から乾かすとしたら夕方とか夜くらいかな…?ジャケットはもしかしたら今日中に乾かないかもしれない。
こうやって涼と過ごす時間が長くなればなるほど涼って言うほど完璧人間じゃないんだと実感する。
容姿はよくて、頭も良くて。何でもできるから生徒の間でも完璧な人って印象が強い感じの話されてるの聞いたことが何度もあるけど本当はそうじゃなくて。
こうやって洗濯物溜めちゃったり、料理は面倒臭がってしようとしない。遅くまで寝てる時だってあるし。オフはどちらかと言えばだらーっとしてることが多い。
仕事をしてる時は物腰穏やかだし、それこそ女子が思う王子様?みたいな理想的な人なんだろうけど、でも、こっちの方が涼らしくて可愛いって思うし、そう言った裏の部分を見せてくれるのって信頼してもらえてるってことだから嬉しさがある。全てが全て完璧であってもそんな人一緒にいたって面白くない。自分の理想だけを兼ね備えた人なんて絶対一緒にいて楽しいって思わない。だって何かそれ、ロボットみたいじゃん。
洗面所に立って約1時間半。やっと選択し終わって、洗濯機も止まったから洗い終わったスーツと一緒に風呂場に干す。干した後でその光景を見てみるが、風呂場がクローゼットみたいになってるようにしか見えない。
「ありがと天使ちゃん助かった」
「んひゃっ?!もー、涼ってば…」
洗濯物が終わるなり抱きついてきた俺よりもガタイの良いそいつにかぷかぷって首筋を噛まれた。吃驚して変な声出ちゃった。恥ずかしい。俺は食べ物なんかじゃないぞ涼。
「昴流肌すべすべで気持ち良い」
「だからって噛むなよ…」
「でも噛まれるの好きでしょ?乳首噛まれたらビクビクってしてイー……」
「えっち!!!」
「いてっ、昴流、ちょ痛いそれ駄目なやつ」
俺は急に噛むなって話をしてたはずなのにどう捻ったらそうなるのか、好きかどうかの…そう言う…話になってしまう。思考が涼の発言に着いていくことを放棄し、思わず俺のお腹に回っていた涼の腕を思いっきりつねってしまった。痛いって言っても知らない。涼が悪い。
「待って昴流逃げないで。ごめんってば」
「変態からは逃げるもんだ」
「昴流~…」
このままずっと涼の腕の中にいるのは危険な気がしてならなくなって、逃げようとしたら力が強くなって抜け出せない。馬鹿力。
それでも諦めずに抜け出そうと試みると、今にも泣きそうな声で謝られた。「俺の癒し」って意味分からないこと言ってるのは兎も角として、そんな声を出されたら罪悪感で逃げる気が失せてしまう。例えそれが涼の策略であろうとそうでなかろうと。
「ふふ、昴流大好き」
そうしたら嬉しそうにより一層抱き締める力が増すんだから文句を言う気力も削がれてしまう。
今回は本当に疲れてたらしくてリビングに戻りソファに座って休憩してる時、ずっと涼の股の間に座らされ、抱き締められた。しかもえっちな触り方をしてこない。ただ俺を抱き締めてるだけ。可愛い。
暫くしたら静かになって俺の肩で頭を支えてうとうとしだすんだからよっぽどだ。家事なら俺がしてあげるんだからこんなに疲れてるなら今日は寝とけば良かったのに。
「りょーお、昼ご飯食べずに寝る?それともそれまでの1時間くらいだけ寝る?」
「…起きて料理する昴流の可愛い後ろ姿見とく」
「否見るくらいなら寝ようよ…」
「寝ない」
俺の出した選択肢はすべて拒否され新しい3択目が出現する。そんなのするくらいなら俺は寝てて欲しい。睡眠よりも俺の後ろ姿眺める方が大事な訳ないだろ。
涼が風邪ひいた時も睡眠時間長いとは言えなかったしな。どうせ涼のことだから多めに言ってるだろうから実際はあの時言っていたよりも、もう少し平均睡眠時間は短いだろう。大体…5時間から6時間くらい?忙しくてスーツを溜める程に時間がなかったとしたら最近は…、どう考えたっていつだって見れる俺の料理姿を優先するようなものではない。
「ほらこれ抱き締めて寝てて」
「っぶ…、昴流乱暴」
「変なこと言う涼が悪い」
涼には口でよりも行動して寝かせた方が早いと思って、涼が油断している隙に腕から抜け出して寝室から毛布とぬいぐるみを取ってきて狼の方を涼の顔に「さっさと寝ろ」と押し付け、毛布をかける。
これで寝てくれないなら寝室に引きずってでもでも運んでやる。
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