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憂鬱な気持ちのままついに測定は俺のクラスの番になって。一番最後だし頃合い見て抜け出そうか、とかそんなこと考えていたら早くも俺のすぐ前には保健室の扉が。嗚呼、もう今すぐにでも学校でテロとか起こって身体測定中止になれば良いのに。
「るーうちゃん、今回"記録上"は身長伸びるかもね」
「身長多くて3センチはいけんじゃね?」
俺よりも早くに保健室から出てきた2人は教室に戻る前に俺のところに来てそう言ってきた。その意味は分からない。記録上はって。実際は伸びてねぇみたいに言うな馬鹿。
2人の言ったことが理解できぬ間に俺の前の奴が保健室から出て行ってとうとう俺の番となり、保健室の扉を開けた。
結局テロは起きなかった。
「狼城さん、そちらに籠がありますので上だけ脱いで下さい」
「…え、」
聞き覚えのある声。低く耳に響くその声に驚きながら声の主の方を見るとワインレッドの色の眼鏡をかけた良く知っている顔がいた。
「兄さん何で…」
久しぶりに見た白衣姿はどう見たって兄さんだ。何でこんなところに。否そりゃあ医者だし、近くの病院ででかいのなんて家の病院くらいだけども。病院内でも医者は沢山いる、診療所も遍在している中で兄さんが来るとは思ったなかった。
「知らない奴の方が良かったか?」
「え、い、いや…」
そんで、仕事中だってのに医者としての対応を止めて俺の驚き様にクツクツと笑ってる。
知らない奴…よりはそりゃあ兄さんの方が良いけどさ。聴診器当てられるとき気まずいし…。その、キスマーク…?
「んなことよりも問題はお前だよ」
視線は涼の方へ移り、兄さんは机に座って記録を取っている涼を睨んだ。睨まれた涼は「俺は何もしてませんけど?」って感じの顔できょとんとしてる。
「何?」
「『何?』じゃねぇよ馬鹿。身体測定あんの分かってんだから"これ"、控えろっての」
溜息混じりにそう言った兄さんが"これ"と指差したのは俺の肌…の赤い点々。凄い。俺の心を読んだみたいだな。
…否別に嫌って訳じゃないからな。ちょっと気まずいな~って思っただけで止めてくれとは俺は思ってないからな、涼。
去年は理由付けて脱がなかったし。そうなったら聴診器でお腹出すだけ。まぁ1回会ったらもう会うか分かんない人だし?俺は構わない。そん時だけ乗りきれば良い。…まぁ、逆を言えばそん時だけは耐えないといけないけども。
「修学旅行で耐えれたんならなぁ…」
「あーもー母さん五月蠅い」
「お前の母親になんかなりたくねぇよ世話がかかる」
お、おお…これが友達同士の会話って奴?涼の家族を除いていつも大魔王様だ鬼だって怖がられる涼が兄さんに怒られて、まさかの涼が会話から逃げてる。奇跡的な瞬間を見ている気分だ。
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