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1年の中で最悪の行事を終えやっと平穏も戻ってきた。何の平穏って身長をいじられない平穏?
でも代わりに、あの日までは身長のことで憂鬱で考えてる余裕なかったけど、今度は去年同様視線が気になりだす。視線…って言うか、目か合う?リボンを見て1年だと判断。去年も目が合う回数1年が多かったかもなぁ…。
あれでしょ、えっと『俺に少なからず好意を抱いてる人がいる』って奴。今年はちゃんと覚えてたぞ。
「ま、そのうち去年みたいに見てる奴少なくなるよ」
「…何で?」
そう言えば、そうだったな。去年は夏休み明け?位から段々と目が合うことが少なくなってきてた。…まぁ、また増えたわけなんだけど。あれか、見るの飽きたとか、そう言う奴?
「否、それよりも…」
「お前と愁がイチャついてるからだろ」
聞くと、否定されそう言われてしまった。2人が言うには俺と愁の距離感で付き合ってるって勘違いして近づかないようにしだしたんじゃないかとのことで。
「牽制…じゃあねぇけどまぁ丁度良いだろ。椿が嫉妬の鬼に化すよりは噂利用してたら」
「あー…」
嫉妬する涼…。涼なら嫉妬しそうではあるな。俺はそれをいつでも見てられるから誤解といても良いんだけど、それは流石に涼に申し訳ないから止めとこう。
「ま、ルウちゃんはどっちに転んでも見てくるやつらはアウトオブ眼中だろうし?ちょっと気にするだけで良いと思うけどぉ…」
「けど?」
「俺はそれよりも気になってることがあってさ。ほら"前"椿が愚痴ってただろ?」
今までの話題は去年同様だからそこまでは重要ではない、と前置きをおいて気がかりな点を愁は言いだした。
前、とは入学式があった翌日のことだ。
屋上で昼食を取っているとき、涼は愚痴を零した。その内容ってのは今年入学してきた奴のこと。1日目にして涼が文句を言っていたのが印象的だったから一言一句間違えずに覚えてる。
ーあのわかめ糞面倒臭ぇ。テンションについていけねぇし、顔がまず腹立つ。後髪。赤潮に呑まれて呼吸困難になれよー
気に入らないところその1、そいつのテンション。その2、顔。その3は髪の毛。他人に無関心な涼がこれほどまでに駄目出しポイントを挙げたその理由は。
「『注意しても言うこと聞かねぇ。お前らの方がまだ可愛いと思える赤潮に呑まれたわかーー……っ」
ーぞくりー
愁が涼が言っていたことを復唱している途中。背後から感じた気配に体が警笛を鳴らす。ここ2年近くは無縁だったそれに条件反射で俺は足を、愁は拳を背後に向かって伸ばした。
「うおっ、怖…っ?!待って待って!」
威嚇のつもりで寸で止めたそれ。そうすると俺らの背後にいたそいつがそう声を発し後ろへスキップを踏んだ。
感じた殺気もなくなり、俺らも手と足を下ろすが、一応間合いはとってそいつのなりを確認した。
頭に真っ赤なわかめをのせた奴。服は指定のシャツは着ずにパーカー。ピアスにブレスレット。ここの生徒なのかと一瞬疑いそうになるなりは、もしかしなくても涼が愚痴っていた『赤潮に呑まれたわかめ』な新入生だろう。
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