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あまりに印象的な初対面をした赤わかめ基朝生田。その日は愁がずっといらいらしっぱなしでそいつから意識をそらすのが大変だった。涼と愁は似た者同士だから苦手なやつも似るって訳ね。じゃあ俺はどうなんだって言われるとどちらかと言えば苦手だけど。琉生は「何であれで合格できたの?不公平じゃねぇ?」って不満をこぼしていたが観点がもはや違うので苦手意識を持ってるかは不明。…まぁ、あんな分かりやすく俺ら2人に殺気飛ばされたらなぁ。
「狂狼ちゃん熊好きなの?すげぇ持ってる」
…なのにまぁ、二度と出来れば関わりたくねぇと思ってたやつが何故か俺らの教室に来て話しかけてきてる。そのせいで昨日の今日で愁は朝生田を睨みまくってる。あーあーあーあー…、両手に手突っ込んでる。刺すなよその中にあるもんで。
「この熊かぁわい。狂狼ちゃんって可愛いもの好き?」
「…熊は」
「へぇ~、意外だったなぁ」
睨まれてる朝生田は気づいてないのか気づかない振りをしているのか。どちらにしても馬鹿強い精神力だと思う。俺と琉生は愁が殴らねぇかはらはらしてる隣でこれなんだから。
「俺も可愛いのは好きっすよ。…あ、ピアスも良く見たら熊。本当に好きなんだ。みーせて」
「え、あ…うん」
「昴流から手ぇどけろ」
俺のピアスに興味を示した朝生田がチャームを見ようと手を伸ばしたその瞬間。ついに堪忍袋の緒が切れたらしい愁が朝生田の腕をつかんだ。
「ただピアス見るだけなんだからそんなに敵対心向けないでくれません?何もしねぇって」
「てめぇが、気に入らねぇから。退けろって言ってんだよ。2度も言わせてんじゃねぇぞ」
「落ち着けって。な?」
殴るすぐ手前まで来てる愁の目を琉生が覆って何とか落ち着かせようとする。涼も朝生田の愚痴をこぼしてはいたが、愁がここまでこいつを嫌う理由って気に入らないだけじゃあないかもしれない。それだけならこんなに苦手な癖に暴力的な行為に発展しないはずで。
そこにあるのは警戒。敵意。
「怖いなぁ…。何もしないって言ってんでしょ」
「しようがしまいがどうだって良いんだよ。気に入らねぇっつってんのが聞こえねぇのか?あ?」
愁は落ち着きを見せないどころか寧ろどんどん機嫌が悪くなっていくばかり。これ以上朝生田といたら不味いかもしれない。昨日注意くらって今日も、ってのは避けた方が良いよな。
「朝生田、悪いけど教室に戻って。愁機嫌悪ぃから」
愁をなだめるのは琉生に任せて朝生田にここは退いてもらうよう頼む。愁がどうしてこんなにも朝生田に敵意をむき出しにすんのかは分かんねぇけどきっとそれにはちゃんと訳があって。だから愁が冷静になってその理由を聞くためにも、一旦距離を置くべきだと判断した。
「俺は良いっすよ。また話そうね狂狼ちゃん」
案外すんなりと。もうちょい食い下がってくるかと思ったが朝生田は俺の頼みを聞き入れて俺にぶんぶんと手を振って教室を出ていった。
…初対面で殺気を飛ばしてきたとこ以外は、そこまで意識するポイントないと思うんだけどなぁ…。
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